虎の救世主・岩崎優「心が折れたことは一度もない」

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • photo by Nikkan sports

 9年ぶりの優勝を目指す阪神が、ここまで(6月11日現在)首位・巨人に3.5ゲーム差の3位につけている。だが、開幕当初は投手陣が不安定で、一時期、チーム防御率は7点台を記録するなど混迷を極めた。そんなチームを救ったのが、ドラフト6位ルーキーの岩崎優だった。プロ初先発となった4月2日の中日戦で5回無失点と好投してプロ初勝利を挙げると、4月24日の中日戦で7回を無失点。その後も、勝ち星には恵まれていないが(2勝3敗、防御率3.50)、先発としての役割をしっかり果たして、チームにとって欠かせない存在となっている。そんな岩崎の最大の特長は、球持ちの良さと、どんなピンチでも表情ひとつ変えずに淡々と投げ込める冷静さだ。このピッチングスタイルはいかにして作られたのだろうか。

キャンプは二軍スタートだったが、オープン戦での好投が認められ開幕ローテーションの座を勝ち取った岩崎優。キャンプは二軍スタートだったが、オープン戦での好投が認められ開幕ローテーションの座を勝ち取った岩崎優。

―― プロに入って数カ月が経ちました。自分が変わったと感じることはありますか。

「技術面に関しては特に変えていなくて、今までやってきたことをそのまま出しています。ただ、体は少し大きくなりました。入寮(1月)のときに少し増やしてきたんですけど、そこからさらに増えました。体重が増えるにつれて体が重くなったりとか、そういうことがあれば少し制限も考えたんですけど、特になかったので、逆にこれくらいが良かったのかなと思っています」

―― 体重が増えたことで、ボールが重くなったと実感することはありますか。

「自分ではないですね。投げているボールはそんなに変わってないと思います」

―― プロに入ってやせてしまう選手もいますが、食欲が落ちることはなかったのでしょうか。

「基本的になかったですね」

―― 寮のごはんはおいしい?

「おいしいです(にっこり)」

―― プロの世界、チーム、関西にはもう慣れましたか。

「関西は分からないですけど、チームには、はい。ちなみに、関西に慣れるってどういうことですか?」

―― みんなが親しげに声を掛けてきたり(笑)。そういうことに慣れたかな、と。

「ああ、タクシーとかでありますね。でも、街で声を掛けられることはないです」

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