球界クライシス。セ・リーグの投手のレベルが落ちている!? (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

 DH制のないセ・リーグでは、たとえ好投していても試合展開によって代打を送られるケースがあるため、完投数は少ないと言われている。そこで、ここ10年間の両リーグの完投数を見てみたい。

      セ・リーグ  パ・リーグ
2004年  48     75
2005年  71     108
2006年  80     109
2007年  47      93
2008年  41      88
2009年  66     106
2010年  45      85
2011年  61     107
2012年  54      77
2013年  41      56

※2013年は9月18日現在

 確かに、すべてパ・リーグの方が多いが、さらに過去の数字を調べてみると、2001年はセ・パともに86で同じ。2002年にいたっては、セ・リーグが98に対しパ・リーグが81で、セ・リーグの方が上回っている。つまりDH制のあるなしに関係なく、いいピッチングをしていれば、簡単に代打を送られることはないのである。

 もちろん、それは投手を育てる側の問題でもある。昨年まで日本ハムで投手コーチを務めた吉井理人氏は次のように語る。

「役割分担がはっきりしていないチームが多いですよね。ピッチャーにとっていちばんありがたいのは、どの場面で登板するのかがわかっていることなんです。本当なら、どのイニングで投げるかを決めてあげた方がいいのですが、そこまでしているチームはありません。ただ、何点差以内だったらいくのか、勝ちゲームのみ投げるのか。それぐらいは決めた方がいい。最近のプロ野球を見ていると、先発だったピッチャーが中継ぎで投げたり、勝利の方程式だと思っていたピッチャーが敗戦処理になっていたり、使われ方が不規則です。これではコンディションを作るのも難しいし、モチベーションも上がりません」

 特に、今季のセ・リーグでよく見かける光景だという。選手個人だけでなく、チームとして、リーグとして考えていかなくてはいけない問題だ。ルーキーたちの活躍が目立った2013年のセ・リーグ。新しい顔が台頭することは喜ばしいことだが、今は楽天の田中のように圧倒的な力を持ったピッチャーの誕生を待ちたい。

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