球界クライシス。セ・リーグの投手のレベルが落ちている!? (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

 こうした投手力の差が顕著に表れたのが交流戦だ。2005年から交流戦が始まったが、今年も含め、9年間でパ・リーグのチームが優勝したのは8回。両リーグの対戦成績を見ても、パ・リーグが負け越したのは2008年の一度だけ。特に、ダルビッシュ有(当時・日本ハム)や岩隈久志(当時・楽天)、杉内俊哉、和田毅(ともに当時・ソフトバンク)といった投手たちが顔を揃えた2010年、2011年は、それぞれパ・リーグが81勝59敗、78勝57敗で勝ち越すなど、投手力の差を見せつけ圧倒した。

 2007年以降、交流戦は2連戦の変則日程で行なわれているため、ペナントレースよりも先発の頭数は少なくすむ。つまり、1番手、2番手に優秀な投手がいるチームが断然有利になるわけだ。かつて巨人の原辰徳監督は「パ・リーグは好投手が揃っているだけに、2連戦の日程だとセ・リーグは苦しい」と語り、当時オリックスの監督だった岡田彰布氏も「1番手、2番手の投手力はパ・リーグが圧倒している」とセ・パの投手力の差を認めていた。

 だがその後、ダルビッシュ、岩隈、和田がメジャーに挑戦し、杉内、ホールトンが巨人に移籍。球界のエースと呼ばれた投手たちがパ・リーグからごっそり抜けた。単純に考えれば、両リーグの差は逆転するか、少なくとも縮まるはずだ。しかし、今年の交流戦も80勝60敗でパ・リーグが圧勝した。

 第2回、第3回WBCで日本代表の投手コーチを務めた与田剛氏は次のように語る。

「パ・リーグに比べて、セ・リーグは1試合を任せられるピッチャーが少ない。今シーズンは吉見一起(中日)がケガで戦列を離れたこともありますが、今のセ・リーグを見ていて、エースと呼べる投手は前田健太(広島)ぐらい。パ・リーグもダルビッシュや岩隈が抜け、以前に比べれば投手力は落ちたかもしれませんが、それでも田中将大が21連勝を記録し、オリックスの金子千尋も素晴らしいピッチングを見せている。うまく世代交代していますよね」

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