将来の日本の主砲。パ・リーグの「若き4番」がアツイ! (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Nikkan sports

 中田や浅村には実績で及ばないが、潜在能力、特に遠くに飛ばす能力においてまったく引けを取らない打者が、ソフトバンクの柳田悠岐(24歳)だ。

 身長188センチ、体重90キロの恵まれた体格。ドラフト時、ソフトバンクは現在西武で活躍する秋山翔吾も指名候補に挙げていたが、王貞治球団会長の「柳田と秋山、どっちが飛ばす力があるんだ?」との一声で、柳田の指名が決まったという逸話がある。「世界の王」も惚れ込む大砲候補はとにかく全球フルスイングがモットー。

 昨年限りで引退した小久保裕紀は「後継者」として柳田の名前を挙げ、「練習のフリー打撃から全部スタンドインさせるつもりで、とにかく思いっきり振れ」と金言を与えた。それは小久保自身が若き日に王監督(当時)から口酸っぱく言われた言葉だった。昨年のプロ初本塁打は、広いヤフオクドームの右翼席上段まで届く推定135mの特大アーチだった。

「ボールを叩くとか、バットに乗せるとかじゃない。“しばく”です」

 柳田がバットを振れば、何かが起こる。今ではそんな期待感を抱かせる選手となり、8月29日からは10試合連続で4番に座った。8月30日の楽天戦、4番打者としての初打点は田中将大からの2点タイムリー二塁打だった。

「抜けた瞬間、『ヤバっ』と思いました。家に帰って、スポーツニュースを見てひとりでニヤニヤしてました(笑)」

 9月6日のオリックス戦では9回表に両チームゼロ行進の均衡を破る決勝ホームランを放った。理想のホームランは何かと聞かれた柳田は、「どでかいのをスタンドに突き刺す」と豪快に語る。その後、自打球の影響で9月10日から3試合続けて欠場しているが、ここまで88試合に出場し、打率.298、本塁打8、打点34。ちなみに柳田がホームランを放った試合は7勝1敗。ムードメーカーでもある柳田の復帰はチームにもファンにも待ち遠しいところだ。

 近い将来の球界を背負って立つであろう、パ・リーグの若き4番打者たち。これからの活躍、飛躍が楽しみなサムライたちである。

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