「投手の繊細さ」と「打者の大胆さ」。日本ハム・大谷翔平が持つふたつの刀
プロ初登板となったヤクルト戦で157キロをマークした大谷翔平 ピッチャーの大谷翔平は、練習によって作られた。いわば努力の賜(たまもの)である。
そしてバッターの大谷翔平は、天然の原石だ。磨けば光ることはわかっている。
だから高校時代、大谷が続けていたのはとにかくピッチング練習の方で、バッティングに関しては本能に任せる部分が大きかったのだという。つまりバッターとしての大谷は天賦の才を授かっており、さほど練習しなくても打ててしまう。天真爛漫にバットを振ればボールを捉え、打球はいい角度で飛んでいく。
ところが、ピッチャーの大谷はそうはいかない。神経質なまでにフォームをチェックし、スピードにこだわり、常に課題と向き合ってきた。
高校1年の冬、大谷が書いた一枚の紙がある。
最終目標を真ん中に書き、その周りに、目標を達成するために必要なものを8つ、必要だと思う順番に書き込む。さらに、その8つのそれぞれに必要だと思うものをもう8つ、必要な順に書き込んだ。
大谷はまず、最終目標に"ドラ1、8球団"を掲げた。そして、そこへたどり着くまでに必要だと思うものとして、この8つを、この順番で挙げた。
コントロール、キレ、スピード160㎞/h、変化球、運、人間性、メンタル、体づくり。
うしろの4つが心と体の課題なら、最初の4つはピッチャーとしての課題だ。そこにバッターとしてのイメージはない。
そして、そのピッチャーとしての4つの課題をクリアするために、さらに必要なものを8つずつ、書き連ねる。
コントロールについては、こうだ。
体幹強化、軸をぶらさない、不安をなくす、メンタルコントロールをする、体を開かない、下肢の強化、リリースポイントの安定、インステップ改善。
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