【プロ野球】「人工知能搭載」のピッチングマシンが野球を変える!?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro

人工知能を搭載した「Pitch18」。パネル操作ひとつで、瞬時に希望する球を投げることができる人工知能を搭載した「Pitch18」。パネル操作ひとつで、瞬時に希望する球を投げることができる 毎年、正月になると、タレントの石橋貴明率いるチームと現役プロ野球選手で結成されたチームが野球で対決する「リアル野球BAN」なるスポーツバラエティ番組がある。その内容を簡単に説明すると、投手の代わりにピッチングマシンを使用し、その球を打者が打つ。その際、野手は守らず、打球が飛んだ方向でヒット、アウトなどが決まる。その名の通り、「野球盤」をリアルに再現したもの。今年も札幌ドームで行なわれ、WBC日本代表候補の稲葉篤紀(日本ハム)、糸井嘉男(オリックス)、長野久義、坂本勇人(ともに巨人)の4人が登場し、大きな盛り上がりを見せた。そして、この時に使用されていたピッチングマシンが、いま球界の間で密かな注目を集めている。

 それが「Pitch(ピッチ)18」と呼ばれるもので、金沢大学の名誉教授である尾田十八氏らと石川県にある工作機械メーカーの西野製作所が、長年、共同研究を重ねて開発された。

 昨年の秋から、西野製作所の西野十治社長も可能な限り同行し、「実際に見て、一度使ってほしい」と、プロ野球の秋季キャンプや強豪校と呼ばれている全国の高校、大学に足を運んだ。すると、実際に打席に立ち、このマシンを体験した選手たちからは、「マシンもここまで来たか......」と何度もため息が漏れたという。では、従来のものと何が違うのか?

「Pitch18」は、一般的なマシンよりもひとつ多い3つの円盤状のローラーを備え、球速は80キロから160キロまで対応可能。球種もストレート、カーブ、スライダー、シュート、シンカーの5種類があり、それぞれ大小2種類の変化をつけることができる。そしてこのマシンの最大のウリが「人工知能搭載」だ。

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