ドジャース投手陣の苦しい台所事情 再構築のカギは山本由伸以外の新戦力と若手の台頭 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hidek

【苦しい投手陣編成を迫られた4月中旬】

 15日には前日の試合にリリーフ登板して1死しか取れず、3失点で負け投手になったジョナサン・フェイエレイセン(31歳)をマイナーに降格。代わって右腕リッキー・バナスコ(25歳)を昇格させた。

 迎えた15日のナショナルズ戦では先発グラスノーの後、左腕ニック・ラミレス(34歳)とバナスコがリリーフし、ともに2回無失点の好投を見せている。

 ラミレスはニューヨーク・ヤンキースの40人枠(球団がメジャー契約できる選手の上限枠。ベンチ入りの上限枠は26人)から外れたために、トレードで4月2日に獲得した選手。バナスコは去年ひざの手術を受け、5月にテキサス・レンジャーズの40人枠を外れ、やはりトレードで獲得した若手だ。バナスコは90マイル台半ば(152km前後)の速球と縦に割れるカーブが武器で、今季はマイナーリーグの3Aでも4回を投げ8奪三振、防御率2.25だった。こういった他球団で枠からはみ出した選手にドジャースはしっかりアンテナを張っている。

 だが、ふたりは翌16日、そろって3Aに降格となった。メジャーではベンチ入りできる投手は13人限定。契約上マイナーに落とせないベテランが多いため、調子が良くても入れ替えられてしまう。代わりに2021年にトレードで獲得し、ファームで育成してきた右腕カイル・ハート(26歳)を昇格させ、16日に先発させた。ハートは去年9月にメジャーデビュー、今年3月のソウルシリーズ(対パドレス公式戦)でもベンチ入りし、3月に2度登板、複数イニングを投げたが、31日にマイナー降格となっていた。

 ハートは45球の球数制限があったため2回3安打無失点の好投のあと、24球で交代。スイングマン(先発、リリーフを両方こなす投手)の左腕ライアン・ヤーブロー(32歳)がロングリリーフし、勝ちを収めた。この試合ではキャンプでマイナー契約の招待選手だったベネズエラ出身の右腕エドゥアルド・サラザール(25)も40人枠に入れ、ベンチに入れていた。

 17日、そのサラザールを1日で3Aに降格、代わってランドン・ナック(26歳)を昇格させた。ナックは2020年のドラフト2巡指名、昨季2Aと3Aで22試合に登板し防御率2.51、ドジャースのマイナーリーグの年間最優秀投手に選ばれていた。ナックはメジャーデビュー戦で5回4安打2失点と好投している。

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