大谷翔平のMLB開幕戦はなぜ韓国開催? そこに至る経緯と韓国側の受け入れ体制が整った事情 (4ページ目)

  • 吉崎エイジーニョ●取材・文

【MLBの認知度アップで大きく変化】

 しかし、あれから1年半が経ち、韓国内の状況も変わった。

「動画サブスク(韓国ではOTTという)文化の発展ですよ。ユーザーが増えているので、企業側も『MLBなどスポーツコンテンツに資金を投じる価値がある』と判断し始めています。今回もMLB側が韓国に代理店を置き、Coupang Playという国内の動画サブスク企業がパートナーとして加わっています。試合中継などのコンテンツを作って、加入者を満足させようというものです。韓国側にも『お金の出し手』ができたというところです」(チェ氏)

 そういった「好循環」のなかでも、今オフの大谷翔平のドジャース加入は、「うれしいハプニング」でもあった。チケット代は最高70万ウォン(約7万7000円)だが、チケットは8分でソールドアウトとなった。

「大谷を日本人かどうかで見ているのではなく、真のメジャーリーグのスターだと見ている証です。韓国内の広告代理店と話をしたことがあるのですが、もし大谷が韓国で何かの広告に出演したのなら、ギャランティは『国内でもトップクラス』と話していたくらいです」(チェ氏)

 日本でのドジャース戦開催機会があるとすれば、来年以降か。

プロフィール

  • 吉崎エイジーニョ

    吉崎エイジーニョ (よしざき・えいじーにょ)

    ライター。大阪外国語大学(現阪大外国語学部)朝鮮語科卒。サッカー専門誌で13年間韓国サッカーニュースコラムを連載。その他、韓国語にて韓国媒体での連載歴も。2005年には雑誌連載の体当たり取材によりドイツ10部リーグに1シーズン在籍。13試合出場1ゴールを記録した。著書に当時の経験を「儒教・仏教文化圏とキリスト教文化圏のサッカー観の違い」という切り口で記した「メッシと滅私」(集英社新書)など。北九州市出身。本名は吉崎英治。

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