大谷翔平 VS パドレス投手陣を徹底分析 ドジャース戦に強いダルビッシュ、過去無安打の変化球投手、強力左腕リリーフ陣をどう打ち砕くか? (4ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【スアレス、松井裕樹の元NPB選手との対戦も】

 試合終盤、パドレスのマウンドに立つのは元ソフトバンク、阪神の右腕ロベルト・スアレスになる。平均球速98マイル(157km)の直球、90マイル(144km)のチェンジアップが武器で大谷とは初対決となる。あるいは元楽天の左腕、松井裕樹かもしれない。松井は大谷との対戦の可能性について「アジアでの公式戦は日本人としてうれしい。しっかり準備したい」とコメントしている。

 ふたりがどの順番で起用されるかはわからない。スアレスは1回限定ではなく4つのアウトも取れるし、打者とのマッチアップを優先し、8回にスアレス、9回に松井のケースもあり得る。スアレスは「いつ起用されるかは監督が考えること。8回でも9回でも4アウトでも、自分は準備ができている」と意気込む。

 彼らと別に、パドレスには試合後半、大谷のバットを封じ込めたい時に起用できるリリーフ左腕が2人いる。ウェンディ・ペラルタとトム・コスグローブだ。ペラルタはドミニカ出身、メジャー経験8年で、平均球速96マイル(154km)のシンカーと89マイル(142km)のチェンジアップを武器にゴロを打たせる。昨年までヤンキースに所属で、対大谷は6打席で5打数1安打1四球、3三振。2021年8月30日はインコース攻めで、最後は内角シンカーで見逃し三振。2022年6月2日は、内角のチェンジアップに3度空振りしての三振だった。2023年4月19日はシンカーで追い込まれ、チェンジアップで空振り三振。20日はピッチクロック違反で1ボールからのスタートとなり、3球で四球となった。

 コスグローブは2017年のパドレスのドラフト12巡指名選手で、昨季メジャーデビューを果たした。スリークォーターから投じる角度のついた球が持ち味。2023年7月3日の初対決は直球で追い込まれ、大きく曲がる75マイル(120km)のスイーパーに腰砕けの空振り三振。その2日後の2度目の対決も2球目のスイーパーにバットを辛うじて当てたが、前のめりで、右手一本で当てただけの三飛だった。2023年の相手打者の平均打球速度は83.9マイル(134km)で、誰に対しても強い打球を許さなかった。

 シルト監督は「ブルペンに左投手で複数の選択肢があるのはとても助かる」と微笑む。もちろん大谷も、いつまでもやられてはいない。どうアジャストするか、とても楽しみだ。

プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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