大谷翔平 VS パドレス投手陣を徹底分析 ドジャース戦に強いダルビッシュ、過去無安打の変化球投手、強力左腕リリーフ陣をどう打ち砕くか? (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【大谷にパワー対決挑む2番手以降候補】

 ダルビッシュは開幕戦の球数が75球くらいになると明かしている。長く投げてもせいぜい5イニングだ。3月という早い時期、2試合の短いシリーズでの登板で首脳陣は無理をさせたくないし、米国本土での次の公式戦まで1週間近くも間隔が空くため、リリーフ投手を総動員できる。

 パドレスのマイク・シルト監督は先発ローテーション3番手のマイケル・キングのリリーフ起用もあると明かしている。トレードで獲得したばかりのホワイトソックスのエース、ディラン・シースについては、大リーグ公式サイトはソウルでは投げないと報じているが、首脳陣は使えるものなら使いたいだろう。シースの対ドジャースの戦績は2試合、10イニングで18奪三振と圧倒的だ。

 個人的にとても楽しみなのが大谷とこのふたり、キングとシースとの対決だ。ともに直球が滅法速く、決め球の変化球も英語でいうところの「Nasty(えげつない)」な曲がり方をする。ふたりはこれまで大谷に力勝負を挑んできたし、大谷もフルスイングで応えてきた。やるか、やられるかだ。キングとは5度対決し、2本塁打、2三振。シースとは11度対決し、2本塁打、4三振である。四球は一度もない。

 キングの武器はスイーパーだ。2023年はメジャーの平均的なスイーパーよりも3.4インチ(約8.6cm)余分に曲がり、空振り率39.5%だった。空振りさせた時、バットとボールが平均でどれだけ離れていたかを示す指標でも、ブレイク・スネル(パドレス)のカーブの10.4インチ(約26.4cm)、タイラー・グラスノー(今季からドジャース)のカーブの9.6インチ(約24.4cm)に次ぐ、9.1インチ(約22.9cm)だった。

 だが、大谷はそのスイーパーを打ち砕いている。2021年6月28日、当時ヤンキースにいたキングから第1打席、打球速度117マイル(187km)の弾丸ライナーを右翼スタンドに突き刺した。解説者は「ミサイルのような打球」と驚嘆していた。2023年7月17日には97マイル(155km)の速球も打ち返した。捕手は外角高めに構えていたが、外角ベルト付近に行き、大谷は会心のスイングで左中間への同点本塁打。珍しくバットを放り投げて喜びを露わにした。「2ストライクのカウントで欲が出て、必要以上に良い球を投げようとしてしまった」とキングは悔やんでいる。

 一方のシースは2022年に14勝8敗、防御率2.20の好成績で、サイヤング賞投票で2位に入った投手。武器は高速スライダーで昨季も空振り率は43.3%だ。ほかにも平均球速96マイル(約154km)の直球、80マイル(128km)のナックルカーブを駆使し3年連続で200奪三振以上をマークしている。大谷は、そのシースのベストピッチも打ち砕いた。2021年4月4日は、97マイル(155km)の高め直球をフルスイング、打球速度115.2マイル(184.3km)、飛距離137.4mの特大の本塁打となった。2023年6月26日の対戦では、捕手は外に構えていたが、スライダーが内側に入り、打球速度113マイル(181km)、136mと再び特大の一撃。シースは「脱帽だね」と舌を巻いている。2人が試合中盤に2番手で出てくればスタジアムが盛り上がるのは間違いない。

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