大谷翔平 VS パドレス投手陣を徹底分析 ドジャース戦に強いダルビッシュ、過去無安打の変化球投手、強力左腕リリーフ陣をどう打ち砕くか? (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【大谷に強くドジャースに弱いマスグローブ】

大谷には一度も安打を許していないマスグローブ photo by AFLO大谷には一度も安打を許していないマスグローブ photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る

 ダルビッシュにとって参考になるのは第2戦先発の同僚、ジョー・マスグローブかもしれない。大谷とは過去に7度対戦しており、すべて討ち取っている。実はメジャーリーグ全体でも右の先発投手の中では最も優秀な戦績だ。

 初対決は2021年の8月27日で、この試合ロサンゼルス・エンゼルス相手に3安打完封、9奪三振と圧倒した。一番打者の大谷も第1打席、内角のカッターで空振りの後、カーブに浅い左飛。2打席目も内角低めのカーブに空振りのあとカーブに二ゴロ。3打席目はカッターで空振りのあと、カーブで浅い中飛。4打席目は内角高め直球に中飛だった。

 2度目の対戦は2023年の7月4日。この時もマスグローブはエンゼルス相手に7回3安打1失点11奪三振の好投を見せた。3番大谷に対し、第1打席は高めの直球で攻め、高めのカッターで空振り三振。2打席目はカーブに浅い左飛。3打席目は真ん中カッターに一ゴロだった。マスグローブは直球が全投球の24%程度で、球速も速くはないが、多彩な変化球を駆使し、ボール球を振らせることができる。

 マスグローブはメジャー最初の5年間は成績が芳しくなかった。それが2021年にダルビッシュとチームメートになったシーズンから変わった。以前は直球主体だったが、曲がり球主体のピッチングに転換。そこには6歳年上のダルビッシュのアドバイスもあった。

「ジョーはスライダーとカーブが両方鋭いのでベストピッチ。真っすぐの、いわゆるピッチトンネルに乗っている(複数の球種を投じる際、途中まで同じ軌道で通すこと。打者の判別が難しくなる)。一方で真っすぐの球質はあまり良くなく棒球という感じだけど、カットボールをうまく併用するようになった。打者はどちらかわからなくてファール、ファールになる。ピッチデザインでもっとこうしたいと(ほかの投手が)言った時に、僕は結構意見を求められるし教えられることもある。(過去に)試行錯誤をしてきたけど、それが役立っている」(ダルビッシュ)

 こんな背景もあり、マスグローブvs.大谷の対決は自分のことのように注視していただろう。それを今回は生かすはずだ。

 だが、そのマスグローブ、実はドジャース相手の通算成績は11試合に先発し0勝7敗ととても相性が悪い。ダルビッシュとはそこは真逆。ベッツ、フリーマン、マンシーにも打率.350以上とよく打たれている。4勝1敗、防御率2.53とお得意様のエンゼルスとは違う。ゆえにエンゼルスの大谷に対して投げるのと、ドジャースの大谷に対して投げるのでは気持ちの上で相当変わってくるだろう。この差が第2戦、どんな結果になって現れるのかも興味深い。

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