山本由伸のライバルは今永昇太だけじゃない ナ・リーグ新人王争い「A・ジョーンズ2世」は要チェック (3ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【ドラフト1位100マイルボーラーの昇格は来年?】

 チョーリオと同様に、20歳のジャクソン・メリル(パドレス)もセンターとしてメジャーデビューしそうだ。本来は遊撃手だが、パドレスは外野手が不足している。同じ外野でも守備の負担が少ないレフトやライトではない点に、その身体能力の高さがうかがえる。

 マイナーリーグでセンターを守ってきたピート・クロウ=アームストロング(カブス/21歳)は、守備に限ればチョーリオとメリルをしのぐ。カブスがコディ・ベリンジャーと再契約を交わしたこともあり、3Aで開幕を迎えるものの、そこで打ちまくれば早期昇格もある。その場合、ベリンジャーはセンターから一塁へ回る。

 昨年のドラフト全体1位、100マイルボーラーのポール・スキーンズ(ピッツバーグ・パイレーツ/21歳)もマイナーリーグでプレーする。こちらのメジャーデビューは来年以降かもしれない。今春の登板でスキーンズは102マイル(約164キロ)を記録した。ただ、パイレーツの再建はまだ完了していないので、メジャーデビューを急がせることはないだろう。

 スキーンズと同じ先発投手では、イのチームメイトであるカイル・ハリソン(22歳)が期待大だ。メジャーリーグでは昨年8月以降の先発7登板で防御率4.15ながら、最後の登板はロサンゼルス・ドジャース戦で5イニングを投げて無安打に封じた。フォーシーム、スライダー(スラーブ)、チェンジアップの3球種に今年はカッターを加え、フルシーズン1年目に臨む。

 一方、早くも今年の新人王レースから脱落した選手もいる。昨年の夏にメジャーデビューし、今年は三塁のレギュラーと目されていたノエルビ・マルテ(シンシナティ・レッズ/22歳)がそうだ。今月初旬、薬物検査でボルデノンの陽性反応が出たとして、開幕から80試合の出場停止を科された。

 なお、山本が新人王を受賞すると、日本人選手では2018年の大谷(当時ロサンゼルス・エンゼルス)以来5人目、ドジャースでは2017年のコディ・ベリンジャー(現カブス)以来19人目となる。ナ・リーグで受賞したただひとりの日本人選手とドジャースで最後に受賞した投手は、どちらも1995年の野茂英雄だ。

プロフィール

  • 宇根夏樹

    宇根夏樹 (うね・なつき)

    ベースボール・ライター。1968年8月14日生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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