大谷翔平の「DH賞4連覇」を阻むライバルは5人 筆頭候補の実力は? (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【DH賞を受賞している現役選手は現在2名だけ】

 大谷とアルバレスの打率、出塁率、OPSはほぼ同水準。ホームランは大谷が23本(年平均7.7本)多いものの、打数も203多い。ホームラン1本あたりの打数は、大谷が13.1、アルバレスは14.0なので、その差は1打数に満たない。過去3年、シルバースラッガー賞のア・リーグDH部門は、大谷→アルバレス→大谷の順に受賞している。

 アルバレスの懸念材料は、ケガとポジションだ。3年連続30本塁打以上ながら出場145試合のシーズンはなく、昨年の欠場は50試合近かった。また、出場の30〜40パーセントはDHではなく、レフトを守っている。チーム事情により外野手として出場がさらに増えると、どんなに打ちまくっても「DH賞にふさわしいのか?」という疑問が生じる。

 大谷とアルバレスに次ぐ候補は、これまでの実績からすると、カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)、マーセル・オズナ(アトランタ・ブレーブス)、ホルヘ・ソレア(サンフランシスコ・ジャイアンツ)に、ジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)といったところだ。

 シュワーバーは過去2年、どちらも大谷より多くのホームランを打っている。2022年が46本、2023年は47本だ。ただ、打率が.218と.197と極端に低く、四球率は高いにもかかわらず、出塁率は.350に届いていない。OPSも.830未満だ。昨年は「打率1割台で40本塁打以上」という史上初の記録を打ち立てた。

 オズナは大谷の連続受賞が始まる前、2020年にDH賞を手にしている。この年は打率.338と出塁率.431、OPS1.067を記録し、18本塁打と56打点で二冠王となった。DH賞を受賞したことがある現役選手は、オズナと大谷のふたりしかいない。現時点でナ・リーグの受賞者は、オズナだけだ。

 4年前は短縮シーズンながら、昨年は40本のホームランを打ったように、オズナのパワーは本物だ。また、オズナには有利な点もある。ブレーブスには強打者が多く、相手の投手はオズナだけを警戒するわけにはいかない。ブレーブスは点ではなく線の攻撃で、投手にプレッシャーをかけることができる。

 昨年、ブレーブスでは5人が30本塁打以上を記録した。2019年のミネソタ・ツインズに続く、史上2組目の「30本塁打クインテット」の誕生だ。オズナ以外の4人は、マット・オルソンが54本塁打、ロナルド・アクーニャJr.が41本塁打、オースティン・ライリーが37本塁打、オジー・アルビースは33本塁打。彼らは今年もブレーブスのラインナップに揃う。

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