大谷翔平、ベッツ、フリーマンの後続打線を分析 ドジャースは4番〜9番に不安あり? (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【ロハスはじめ控えは充実】

 アンドリュー・フリードマン編成本部長の腕の見せ所は、こういった選手がスランプに陥った時に、ほかの選手で補えるようきちんと準備しておくことだ。

 2月26日、10年のキャリアで捕手以外はすべて経験があるスーパーユーティリティ選手のキケ・ヘルナンデスと再契約した。ほかにも6つのポジションが守れる器用なクリス・テイラーがいて、このふたりがいれば大抵のポジションで穴を埋められる。

 ラックスが不振の時の代役は、ミゲル・ロハスだ。メジャーの10年選手で2月24日に35歳になるが、守備は今でも抜群。2021年から2023年の遊撃手の守備防御点(DRS/defensive runs saved:同じポジションの平均的野手と比べて守備で何点防いだかを示す指標)は「32」 で全体1位だ。ロハスはキャンプが始まる時に、大谷と山本由伸のロッカーに入団を歓迎する直筆の手紙と高級ワインを置いた。ベネズエラ出身のベテランは「違う国から来て、新しいチームに加わることがどんな感じか知っている。歓迎されていると感じてもらえるようにしたかった」と説明しているように、常にチームのことを考える選手だ。昨季カンザスシティ・ロイヤルズ相手に連敗を喫したことがあったが、ミーティングで「緊迫感を持ってプレーすべき」とロハスがチーム全員を諭した。「監督が仕事をやりやすくするのも自分の役割」と話す。引退後は監督になりたいという願望があるそうだ。

ベテランらしい振る舞いでチームを支えるロハス photo by Getty Imagesベテランらしい振る舞いでチームを支えるロハス photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る

 現時点でロナルド・アクーニャやマット・オルソンのいるブレーブス打線とドジャース打線を比較すると、ブレーブスの方が若干上に見える。だが、こればかりはふたを開けてみないと分からない。両球団の最初の直接対決は、5月3日からロサンゼルスでの3連戦。その頃には2024年の打線が機能しているかどうか、ある程度見えているだろう。

プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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