大谷翔平、ベッツ、フリーマンのドジャース上位打線の実力を解析 伝説の「殺人打線」級? (3ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【大谷、フリーマンはどちらが2番に?】

 これまでロバーツ監督のみならず、多くのファンが頭を悩ませてきたのが2番、3番を大谷、フリーマンにどの順番で打たせるかだ。どちらが、チームにとって有益になるのか?

 2月27日のオープン戦では2番・大谷、3番・フリーマンで大谷はドジャースでの初試合で初本塁打を放った。ロバーツ監督はこの日、「固定されたものではないが、これを動かすとしてもすぐにではない。1週間、2週間うまく行かなかっとしても変えない」と明言したことからも、大谷、フリーマンの順番で3月20日の開幕戦も戦うのだろう。

 近年のメジャーリーグでは最も優れた打者が2番を打つのがトレンドとなっている。ヤンキースならアーロン・ジャッジだ。しかし、大谷とフリーマンは甲乙つけがたい。

 フリーマンはキャリアを通して3番を打ってきたが、2023年は2番で通し、自己最多の211安打、打率.331の好成績。長打も多かった。しかも盗塁数は過去13個が最多だったのに、33歳にして23盗塁の自己ベスト、失敗も1個だけだった。

 パワーでは大谷のほうが上だ。2023年、平均の打球速度(時速)は大谷が94.4マイルで、フリーマンが90マイル、バレル率(本塁打になりやすい速度と角度の打球の割合)は19.6%と11.1%、ハードヒット率(速度95マイル以上の打球の確率)は54.2%と42.2%だ。

※1マイル=1.6km、95マイル=152km

 確実性ならフリーマンだ。スイートスポット率(角度8度~32度のヒットになりやすい打球)はフリーマンの46.6%に対し大谷は35.6%、ボール球に手を出してしまう確率は26.9%と29.7%、空振り率は20.4%と32.3%、三振率は16.6%と23.9%である。加えて2016年以降、フリーマンの4225個のファールは2位のフランシスコ・リンドア(ニューヨーク・メッツ)よりも400個以上多く、投手泣かせの打者ともいえる。

 ふたりの打順別のOPSを比較すると、フリーマンは14年のキャリアで2番は.944、3番が.905と大差ない。一方大谷は2番が1.013、3番は.856で150ポイント以上も違う。パーセンテージが三ケタに届くOPSというのは毎年ごくわずかのトップ打者しか弾き出せない。このデータから判断すれば、大谷が2番なのかもしれない。

 フリーマンは「これまで両方打ってきているし、個人的にはどちらでも構わない。いかにみんなの力で最高の結果を出せるかだ」と話している。

プロフィール

  • 奥田秀樹

    奥田秀樹 (おくだ・ひでき)

    1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。

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