大谷翔平は打点王のチャンス、吉田正尚はDH専任? ヌートバーは20本塁打も...MLB日本人バッター5人の現在地 (4ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【筒香嘉智がメジャーに昇格できる可能性は高くないが...】

 2年連続MVPは、少しハードルが高い。二刀流の大谷を除くと、MVPを受賞したDHは皆無だからだ。

 パワーに加えてスピードも発揮し、30-30や40-40を達成するとMVPに近づきそうだが、コンテンダーのドジャースにおいて、試合の状況に関係なく盗塁を試みるとは考えにくい。ケガのリスクも併せると、盗塁を増やすべきなのかどうかにも疑問符がつく。ちなみに過去3シーズンとも、大谷の盗塁成功率は80%に届いていない。

 WBCで吉田や大谷とともに優勝したカージナルスのラーズ・ヌートバー(26歳)は、昨シーズン最後の試合で初の規定打席に到達し、出塁率.367はリーグ11位に位置した。

 オニールがレッドソックスへ移籍し、2024年の外野トリオは基本的にレフトがヌートバー、センターがトミー・エドマン、ライトはジョーダン・ウォーカーとなる。ヌートバーは健康を保てれば、リーグ有数の「出塁マシン」となり得る。昨年は3度も故障者リストに入った。2年連続14本のホームランも、20本に達して不思議ではない。7月は6本塁打を記録した。

 サンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約を結んだ筒香嘉智(32歳)は、2年ぶりのメジャーリーグ復帰をめざす。昨年はマイナーリーグと独立リーグの計80試合で17本のホームランを打ち、出塁率.413を記録した。

 現時点において、昇格の可能性は高くない。ジャイアンツの一塁はラモンテ・ウェイドJr.とウィルマー・フローレス、三塁はフローレスとJ.D.デービスが守る予定だ。DHには新加入のホルヘ・ソレーアがいる。さらにFAの三塁手、マット・チャップマンも加わるかもしれない。

 とはいえ、全員がシーズンを通して健康ということはまずない。筒香がマイナーリーグで結果を残していれば、チャンスは巡ってくるはずだ。

プロフィール

  • 宇根夏樹

    宇根夏樹 (うね・なつき)

    ベースボール・ライター。1968年8月14日生まれ。三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランス。著書『MLB人類学──名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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