今永昇太のカブスでの活躍に期待できるわけ 左のスプリッターはMLB打者にとって未知の球種 不安材料を挙げるなら... (3ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【カブスではエースに次ぐ先発の柱として期待】

 不安材料を挙げるなら、投手としてフライ系という点だろう。ここ3シーズンの被本塁打は47本。山本と2020年〜2022年の千賀は、その3分の1に満たない。ヘイマンによると、ニューヨーク・ヤンキースは今永がフライボール・ピッチャーなのでヤンキースタジアム(をホームとするヤンキース)には不向きと判断した、という。

 その一方で、メジャーリーグに移り日本プロ野球と使用球が変わることは、問題にはならないと思われる。サンプル数はわずかながら、昨年3月に行なわれたワールド・ベースボール・クラシックで、今永は制球を乱していない。韓国、イタリア、アメリカを相手に計6イニングを投げ、7三振を奪い、与四球はなかった。死球と暴投もゼロだ。

 今永が加わり、カブスのローテーションは5枠中4枠がほぼ確定した。エースは、今永と同じ左腕のジャスティン・スティール(28歳)だ。メジャーリーグ2年目の2022年に119.0イニングで防御率3.18と台頭したのに続き、2023年は173.1イニングを投げ、スネルと千賀に次ぐナ・リーグ3位の防御率3.06を記録した。

 スティールとともに今永が防御率3.50未満を記録すれば、かなり強力なローテーションが形成される。4枠のあとのふたり、ジェイムソン・タイヨン(32歳)とカイル・ヘンドリックス(34歳)はそこまでいかずとも、実績と力量からすると防御率4.00未満は可能だ。3.50前後の防御率もあり得なくはない。

 最後の5枠目は、現時点ではこちらも左腕のジョーダン・ウィックス(24歳)が有力だ。ウィックスは2021年のドラフトで全体21位指名を受け、昨年8月にメジャーデビューした。

 短縮シーズンの2020年に飾った地区優勝を最後に、カブスは3年続けてポストシーズン進出を逃している。だが、2023年に挙げた83勝は、ワイルドカードの2番手に並んだ2チームと1勝しか違わなかった。そこからあと一歩上に行くため、カブスは今永を手に入れたようにも見える。

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