ドジャース山本由伸は、なぜMLB投手で歴代最高の契約を結べたのか? 評価を上げた要因は2つある (3ページ目)

  • 三尾圭●取材・文・撮影 text & photo by Mio Kiyoshi

【山本に期待される成績】

 では、メジャー1年目の山本は、どれくらいの成績を期待されているのだろうか?

 野球データサイトの『Fangraphs』は、2024年の山本の成績を12勝9敗、防御率3.98、184投球回数で200奪三振、50与四球と予想している。12勝の予想は昨季の千賀と並んでナショナル・リーグ5位タイで、200奪三振は7位タイ。また、予想WAR(打撃や走塁、守備、投球を総合的に評価して貢献度を表す指標)はリーグ9位の3.4で、メジャー1年目からリーグのエリート投手として活躍するという数字が弾き出された。

 山本にとって追い風となりそうなのが、ドジャースが6人で先発ローテーションを回す可能性が高い点だ。

 日本で6人ローテーションに慣れている山本にメリットがあるだけではない。今オフに移籍してきたタイラー・グラスノーはメジャー8年間で121イニング以上を投げた経験がなく、ウォーカー・ビューラーは2度目のトミー・ジョン手術からの復帰のシーズンとなるので、両投手ともにイニング制限が必要だ。

先発4番手と5番手が予定されているボビー・ミラーとエメット・シーハンの両投手はメジャー2年目なので、この2投手にもイニングは制限されるだろう。ドジャースの先発投手の中に200イニングを任せられそうな投手が皆無のため、メジャー流の5人ローテーションで回すよりも、6人制のほうがメリットは大きい。

 山本にとってのメジャー1年目は個人タイトルを狙うのではなく、メジャーで1年間ローテーションを守る"基盤作り"のシーズンとなる。

 ドジャースと12年契約を結んだ山本には息の長い活躍が期待されている。

 冒頭で紹介した、総額2億ドル以上の契約を手にした7投手中、山本とストラスバーグを除いた5投手はサイ・ヤング賞投手である。サイ・ヤング賞を獲っていないストラスバーグにしても、ワールドシリーズでのMVPが評価されて大型契約を勝ち取った。

 1年目からサイ・ヤング賞を手にすることは無理でも、契約期間中の12年の間に同賞に選ばれる投手へと成長してほしいという期待は、全ドジャース・ファンに共通する思いだ。しかも、できれば一度ではなく、カーショウやシャーザーのように3回以上獲ってもらいたいと。

 MLBでの山本伝説は現地時間2月8日、ドジャースのキャンプ地アリゾナ州で幕を開ける。

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