山本由伸は「公称178cm」の身長でもメジャーで活躍できるのか サイ・ヤング賞を受賞した小柄投手は84人中8名 (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【サイ・ヤング賞に3度も輝いた小柄な投手】

 ただ、山本と身長があまり変わらない6フィート未満の3人のうち、グレイはア・リーグ2位の防御率2.79を記録した。これまでの実績もあり、規定投球回以上で防御率3.10未満は今シーズンが4度目だ。

 また、シアーズは防御率4.54ながら、バルデスの防御率3.45はア・リーグ7位に位置した。昨シーズンも、バルデスはア・リーグ6位の防御率2.82を記録している。

 過去にも、小柄な好投手はいた。その代表は、ペドロ・マルティネスだ。公称の身長は5フィート11インチだが、あるいはもっと低かったかもしれない。

 けれども全盛期のペドロは、打者を手玉に取った。躍動感のあるフォームから放たれるボールはどの球種も生気に満ちあふれ、それでいながら乱れることがなかった。

 1997年から2003年までの7シーズン中、奪三振率9.90未満、与四球率2.50以上、防御率2.40以上は、いずれも1998年の1シーズンだけ。それも、奪三振率9.67と与四球率2.58、防御率2.89だ。このスパンのトータル防御率2.20は、500イニング以上投げた185人のなかで最も低いだけでなく、群を抜いていた。ほかの184人は防御率2.70以上だった。

 1997年(モントリオール・エクスポズ)と1999年〜2000年(ボストン・レッドソックス)は、サイ・ヤング賞に選ばれている。1度目はほかの投手に大差をつけ、2度目と3度目は満票で受賞した。2009年を最後に引退後は、有資格最初の記者投票で殿堂に迎えられている。この時、ペドロとともに殿堂入りした選手のなかには、身長6フィート10インチ(約208.3cm)の投手、ランディ・ジョンソンもいた。

 野球統計サイト『ベースボール・リファレンス』のデータによると、身長6フィート未満のサイ・ヤング賞投手は、ペドロを含めて8人いる。あとの7人は、ホワイティ・フォード(1961年受賞、以下同/ニューヨーク・ヤンキース)、マイク・マーシャル(1974年/ロサンゼルス・ドジャース)、ロン・ギドリー(1978年/ヤンキース)、スティーブ・ストーン(1980年/ボルチモア・オリオールズ)、フェルナンド・バレンズエラ(1981年/ドジャース)、バートロ・コローン(2005年/エンゼルス)、ティム・リンスカム(2008年〜2009年/サンフランシスコ・ジャイアンツ)だ。

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