千賀滉大の成績は新人王&サイ・ヤング賞級! 飛躍のカギは「スウィーパー」を投げなくなったこと? (3ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by AFLO

【エース放出で先発ローテーションは千賀の孤軍奮闘】

 メッツの動きはシャーザーの発言を裏づけているように見える。レギュラーシーズンの終了を待たず、メッツはミルウォーキー・ブルワーズからデビッド・スターンズを招き、ベースボール運営部門の長とした。そしてバック・ショーウォルター監督を解任した。

 スターンズはメッツ、MLB機構、クリーブランド・インディアンズ(現ガーディアンズ)を経て、2013〜2015年にヒューストン・アストロズでGM補佐を務めたあと、ブルワーズのGMに就任した。ブルワーズがポストシーズンに進んだのは、スターンズにとって3シーズン目の2018年だ。以降、ポストシーズン進出を逃したのは昨年しかいない。

 資金が潤沢なメッツにおいては、ポストシーズンの常連となるまでの道のりを短縮できるはずだ。けれども、就任直後の今オフだけで実現するのは難しい。金で勝利を買えないことは、今シーズンのメッツが証明している。

 シャーザーとバーランダーを放出したことからもわかるように、メッツのローテーションには、いくつもの穴が空いている。先発投手をひとり加えて千賀と並べても、盤石にはならない。大谷が東海岸のチームでプレーする気になればメッツが大枚を投じても不思議はないが、来シーズンの大谷はマウンドには上がらない。

 とはいえ、ナ・リーグ東地区に君臨するアトランタ・ブレーブス(昨季104勝58敗)をしのぐのは困難でも、うまくいけばメッツはワイルドカードをゲットできる。2025年以降に向けた布石として、今オフに長期契約で先発投手を迎え入れるかもしれず、大型補強がなくてもプラスの要素はある。

 クローザーのエドウィン・ディアスはWBCで左ひざを痛め、今シーズンを棒に振った。25本塁打を記録した新人捕手のフランシスコ・アルバレス(21歳)は2年目のジンクスにハマらなければ、30本塁打も期待できる。今季5月7日の時点でアルバレスのホームランは1本だった。前半に全休のホセ・キンタナ(34歳)も、後半は先発13登板で防御率3.57と悪くなかった。

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