大谷翔平のトレード期限まで1週間 ダルビッシュ、チャプマン、マグワイア...シーズン途中に移籍した大物たちの「その後」 (3ページ目)

  • 井本佳孝 取材・文 text by Imoto Yoshitaka
  • photo by Getty Images

 2012年のサイ・ヤング左腕のデビット・プライスも、シーズン中のトレード後に活躍したひとり。2015年にデトロイト・タイガースで9勝4敗、防御率2.53の成績を収めていたプライスは、トロント・ブルージェイズへと移った。

 その後11試合に登板して9勝1敗、防御率2.30とさらに輝きを増し、最終的に2チーム通算でア・リーグトップの2.45と、最優秀防御率のタイトルを獲得した。ポストシーズンこそ4試合で1勝2敗、防御率6.17と振るわなかったが、チームをプレーオフに導く原動力になった。

 今年の大谷がトレードとなった場合、ポイントになるのは「どのリーグに移籍するのか」ということ。

 かつて、サミー・ソーサ(元シカゴ・カブスなど)と本塁打王争いを繰り広げたマーク・マグワイアは、1997年にア・リーグのオークランド・アスレチックスで34本塁打を放ち、シーズン途中でナ・リーグのセントルイス・カージナルスへと移籍した。

 カージナルスでも51試合で24本塁打と量産。合計58本はメジャー全体でトップだった。しかし、リーグをまたいで移籍した場合は記録が合算されないため、ア・リーグでは56本のケン・グリフィー・ジュニア(シアトル・マリナーズ)、ナ・リーグでは49本のラリー・ウォーカー(コロラド・ロッキーズ)にそれぞれタイトルを譲ることになった。

 現在、大谷は36本塁打を放ち、ア・リーグではルイス・ロバート・ジュニア(シカゴ・ホワイトソックス)に8本差をつけて独走状態。それだけに、ナ・リーグのドジャースなどに移籍すると、マグワイアと同様にタイトル獲得への道が閉ざされる可能性が高い。大谷が本塁打王など打撃タイトルにこだわるのであれば、シーズン中のナ・リーグへの移籍は避けたいところだろう。

 MLBのトレード期限も間近に迫り、各球団がプレーオフ進出や優勝に向けてさらに活発な動きを見せることが予想される。その中で、全米中を騒がせる大谷がシーズン中に電撃トレードされることはあるのか。歴代の大物たちのように、後半戦の起爆剤となることがあるのか。今後も目が離せない。

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