吉田正尚がスランプに陥った時の態度を、レッドソックス首脳陣が絶賛「彼は何かを変えることを嫌がらない」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by スポニチ/アフロ

 2月のフロリダでのキャンプ中、吉田はレッドソックスのGM特別補佐を務める殿堂入りの大投手、ペドロ・マルチネスと対面し、決め球だったチェンジアップの投げ方を教えてもらったことがあった。 外野手が投手に教えを授かっても......と思うかもしれないが、吉田はそういう考え方はしなかった。

「ペドロ(・マルチネス)が現役の頃、松井さん(秀喜)さん、イチローさんとの対戦を見ていました。ポジションに関係なく、いろんな人の話を聞いてみたいんです。ただやっているだけではなく、(成功する選手の背後には)何かがあるはずじゃないですか」

 この件に限らず、吉田は自分が知らない何かを知っている人、持っている人には素直に教えを乞おうとする。アメリカ生活では"先輩"となる筆者も、クラブハウスでのやりとりのなかで、何度かニューヨークやボストンでの日々について問われたことがあった。

 そんな選手なのだから、打撃のアジャストメントを素直に聞き入れ、実行したのも当然のことだったのだろう。もちろん、コーチ陣のアドバイスに納得したがゆえだろうが、この柔軟性と向上心を好意的に捉えたチーム関係者は多いに違いない。

 メジャーでのキャリアは、アジャストメントの連続である。吉田にも、また苦しむ時期はくるだろう。ただ、スランプは不可避でも、確かな技術を持ち、同時に適応能力を備えた吉田ならその期間をできる限り短くできる。これまでの軌跡を振り返えれば、チーム関係者、首脳陣、そしてレッドソックスのファンはそう信じるだろう。

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