千賀滉大のフォークはハードヒット率0%!野茂英雄以来のナ・リーグ新人王に向けて、最大のライバルはふたりの野手 (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki
  • photo by AFLO

【野茂英雄と千賀滉大の共通点】

 これまでにMLB新人王を手にした日本人選手は、4人を数える。1995年の野茂英雄(当時ロサンゼルス・ドジャース)、2000年の佐々木主浩(当時シアトル・マリナーズ)、2001年のイチロー(当時マリナーズ)、2018年の大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)だ。千賀が新人王を受賞すれば、ナ・リーグでは野茂に続くふたり目の日本人選手となる。吉田と藤浪は、ア・リーグのチームに在籍している。

 野茂と千賀は、ともにパ・リーグで投げ、フォークを決め球に多くの三振を奪った右投手という点が共通する。メジャーデビュー前の5シーズンの奪三振率は、1990〜94年の野茂が10.32、2018〜22年の千賀は10.54だ。

 今のところ、ナ・リーグの新人王レースにおいて、千賀に並ぶ投手は見当たらない。25イニング以上を投げている4人のうち、千賀以外の3人は防御率5点台だ。

 ただ、野手には、強力なライバルがふたりいる。どちらもメジャーリーグ2年目の外野手、26歳のジェームズ・アウトマン(ドジャース)と22歳のコービン・キャロル(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)がそうだ。

 30歳の千賀を含めた3人がナ・リーグ新人王レースの先頭集団を形成、という見方もできる。だが、千賀は彼らに次ぐ3番手、と見るべきかもしれない。

 昨年の夏、アウトマンはメジャーリーグ初打席でホームランを打ちながら、4試合に出場しただけでAAAへ戻った。今シーズンは主にセンターを守りながら45試合に出場し、打率.264と出塁率.351、9本塁打と5盗塁、OPS.892を記録している。4月を終えた時点のOPSは.990を超えていて、月間最優秀新人に選ばれた。

 キャロルは昨シーズン、メジャーリーグで32試合に出場。今年3月に8年1億1100万ドル(約151億円)の延長契約を手にした。今シーズンは外野両翼にセンターも守り、41試合で打率.279と出塁率.363、6本塁打と10盗塁、OPS.856を記録している。

 シアトル出身のキャロルは、MLB.comのスティーブ・ギルバートとESPNのジェフ・パッサンによると、イチローに憧れて育ち、今も2019年の春にイチローと会った時の2ショットを電話の待ち受け画面にしているという。2019年6月のドラフトでダイヤモンドバックスから全体16位指名を受けた。この年、マリナーズが持っていた最初の指名権は全体20位だった。

 一方、アウトマンのドラフト順位は2018年の7巡目・全体224位と高くない。今シーズンの開幕当初は、トレイス・トンプソンらとセンターのポジションを分け合っていた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る