がん闘病中のダルビッシュ賢太が今、病床から訴えたいこと「たぶん、俺、病気してよかったんです」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Darvish Kenta

 そうすると、がん患者のコミュニティみたいなものができそうになるんですが、僕はあまり、それを求めてないんですよ。そんなに、ほかの患者の方と意見や情報交換をする気はなくて。DMにも『こうしたほうが僕は楽でしたよ』とか、いろんなことを教えてくれたりもするんですが、僕はそういうのに返事をしていない。

 というのも、同じ治療ひとつとっても、副作用の出方やしんどさっていうのは、全然違うと思うんですね。そういう意味で、他人をわかった気になりたくないと思う自分がいるんですよ。

 自分は今、『BEP療法』の3クール目をやってもらっています。BEP療法というのは基本的に、抗がん剤治療のなかでも結構しんどいほうなんです。抗がん剤治療と言っても、たとえばがん細胞を増やさないようにする治療と、がんを治しにいく、潰しにいくっていう抗がん剤治療があるんです。

 BEP療法はがんを潰しにいくやり方なので、そもそもタフ。僕はたまたま、ほかに病気がないし、若いし体力もあってと、いろんなことをクリアできたので今こうやって頑張れているんですけれど、そこは人によって違う。だから、『抗がん剤治療をしている』ということだけで共感や理解ができると思わないんですね」

── 現在は「抗がん剤治療の3クール目」ということですが、具体的にはどのような治療で、どのようなプロセスなのでしょう?

「抗がん剤は点滴での投与で、いつも朝の10時から始まり、夕方5時まで続く。これが基本です。でも、日によっては副作用で身体がしんどいので、ちょっとスタートを遅らせてくださいってお願いしたり。なかなか勇気がでなくて、始まりが午後1時とかになったり。でも結局、終わる時間が延びるだけなんで、意味はないんですけどね。

 基本的に1クールごとに初日からDay16まで投薬日があるのですが、今が3クール目。16日連続で抗がん剤を入れるわけではなくて、1日目から5日目まで連続で入れて、数日開けてからまた2日連続で入れて......というふうにスケジュールが決まってるんです。間に休憩を入れるのは、そうしないと体がもたないからなんですが、そもそも5日連続で入れることがめちゃくちゃタフで、結構しんどい。

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