メジャーの新ルール「ピッチクロック」でどう変わる? サイ・ヤング賞右腕は「投手がテンポを支配できるようになった」と歓迎 (2ページ目)

  • text by Saku Yanagawa
  • photo by Getty Images

 2月のオープン戦でも投手、打者ともにピッチクロック違反でペナルティを受ける場面があり、選手たちの適応に注目が集まっていた。

 カブスのストローマンは、3回無死二塁でクリスチャン・イエリッチを迎えた場面で20秒のピッチクロックを超え、違反者第1号となりボールが宣告された。テンポよく投げ込み、打たせてとることが持ち味のストローマンが歴史にその名前を刻んだことは興味深い。試合後の会見で、ピッチクロックについて問われたストローマンは、次のように答えた。

「常に時計を見ていた。打者だけじゃなく、ランナーも、時計も気にしなきゃいけなかった。正直、このルール変更はピッチャーにとってかなりタフだ」

 WBCプエルトリコ代表としてプレーし(WBCでは2022年までのルールを採用)、オープン戦の合流が遅れたストローマン。15秒という体感時間に慣れるまでにはもう少し時間が必要だと訴える。

 結局、この試合でピッチクロック超過によるペナルティを受けたのはストローマンのみ。そして試合時間は2時間21分だった。全チームで見ても、昨年の開幕戦の平均試合時間が3時間11分だったのに対し、今年は2時間45分と大幅に短縮された。
 
 こうして、試合時間短縮の意味では大きな効果を生んだピッチクロック。ではこの新ルールは投手と打者、どちらに有利に働くのだろうか。

【シャーザーは新ルールを歓迎】

 ストローマンが言うように、ピッチャーにとって、自身の投球テンポを早めなければならないことは大きな負担になりうる。それに加え、牽制球の球数()にも制限が設けられたことにより盗塁の増加も予想されており、打者に有利に働くと予想する専門家も多い。
※投手が牽制をする、もしくはプレートから足を外すことができるのは1打席につき2度まで。その場合、ピッチクロックは0に戻り再びカウントが始まる。3度目以降が完全に禁止されているわけではないが、走者をアウトにできなかった場合、ボーク扱いとなって走者は進塁してしまう

 パドレスのダルビッシュ有もこの変更に適用する不安と難しさについて、こうコメントしている。

「次に何を投げるか考える時間がない。自分にとっては、チャレンジ。もっと早く投げなければならない。その分、疲労が大きくなる可能性がある」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る