マック鈴木から結城海斗へ助言。「なんでもマネ」で英語はうまくなる (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Reuters/AFLO

 マイナーはバス移動が過酷で、食事も満足にできないと言われています。たしかにしんどいことはしんどいですが、みんな一緒ですから。食事にしても食べられないものはないです。そこに関して、不満を持ったことはないですね。

 ただ、ひとりでゆっくり食べに行きたいなと思う日があっても、ひとりだとマネする相手がいないので注文できない。なので、みんなと食事に行くことがほとんどでした。ほかの人たちはワーワーと楽しそうにしていますが、僕は言っていることがわからないので、静かにご飯を食べて、ときどき愛想笑いをしていました。そのときは、ちょっとストレスだったかもしれません。

 マイナーには中南米から来て、何年も英語を覚えない選手がいます。英語がしゃべれない者同士が集まり、楽をしようとするんです。僕もたまに彼らの部屋に行って、ピザを食べたりしていました。でも、それでは英語はいつまでたっても上達しません。

 特にマイナーの選手は、気性が激しくて、メジャーの選手のような人格者はそういません。それに白人のアメリカ人とか、差別的なところがあるんですよ。で、そのなかに入っていくには、やっぱり英語がしゃべれないといけない。

 僕は10代から、そういう特別な環境に入れただけでもいい経験をしたと思っています。自分で言うのもあれですけど、どの人を見ても差別することはありません。マイナーでは、約5カ月のシーズンが終わると、みんなほかの仕事で生計を立てながら、次の3月に向けて備えるわけです。野球で夢を追いかける部分と、日常生活という現実の部分が両立されているので、日本みたいにアンバランスにはならないと思うんですよ。

 たとえば、日本では高卒でプロに入った選手にも高額の契約金が支払われ、毎月50万円ぐらいもらえて、寮費がぜいぜい月4~5万円。なかには3年でクビになる選手もいますが、そんな生活をしていたらその後の生活がおかしくなりますよ。

 アメリカでも、ドラフト上位となれば別ですが、下位の選手なんて500ドルとシューズとか......そんな契約ですからね。

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