14億円より息子同伴、まさかの世界一弾...。メジャーリーガーの引退劇 (6ページ目)
日本でも話題になりましたが、その理由は、ホワイトソックスが14歳になるラローシュの息子を球場に連れてくることをやめるように求めたからです。その後、球団は現役続行を懇願し、メジャーリーグ選手会も介入しましたが、ラローシュの意思は固く、ユニフォームを脱いでしまいました。
ラローシュは親子・兄弟メジャーリーガーとして有名で、父のデーブは1970年代にカリフォルニア・エンゼルスなどでクローザーを務め、弟のランディもピッツバーグ・パイレーツなどでプレーしていた内野手です。兄のアダムは2004年にブレーブスでメジャーデビューを果たし、中距離ヒッターとしてメジャー12年間で6球団に在籍しました。2012年のワシントン・ナショナルズ時代にはシルバースラッガー賞と、ファースト部門でゴールドグラブ賞を受賞しています。
ラローシュは野球一家であったからこそ、息子の入場を拒否するチームの姿勢は許せなかったのでしょう。彼自身も子どものころ、メジャーリーガーの父と球場に来て野球を覚え、メジャーを目指した思い出があるからです。
もちろん、ファンも球団に対して大いに怒りました。なぜ、そこまでして息子の球場入りを拒否したのか――。日本のプロ野球では考えられないような引退劇でした。通算成績は、打率.260・255本塁打・882打点。引退を決意したときは36歳。まだ十分にチームに貢献できる年齢だと思いますが、野球人生のピリオドの打ち方はさまざまだと、ラローシュの引き際を見て改めて考えさせられます。
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)
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