イチローとマーリンズの相性が良い5つの理由 (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by Getty Images

 また、イチロー選手がマーリンズを選んだ4つ目の理由としては、「自由奔放なチームの雰囲気」もあるのではないでしょうか。名門ヤンキースは歴史と伝統を重んじるチームなので、ユニフォームの着こなしや、無精ヒゲの禁止など、厳しい規律がありました。しかし、1993年に誕生した新興チームのマーリンズは、自由でおおらかな気風です。プレイスタイルや日々のルーティーンなど、個性的なイチロー選手の生き方はマーリンズに合っていると思います。同じようにエクスパンション(球団拡張)で誕生した古巣のシアトル・マリナーズと雰囲気が似ているかもしれません。

 そして最後、5つ目の理由として、「ラテン系選手の多さ」も挙げてみたいと思います。というのも、マイアミは「中南米の首都」と呼ばれるように、人口の約65%がヒスパニックです。それはマーリンズのチームにも反映されており、昨季本塁打王のスタントンはプエルトリコ系アメリカ人、昨年5月にトミー・ジョン出術を受けた若きエースのホセ・フェルナンデス(4勝2敗・防御率2.44)はキューバ出身と、非常にラテン系が多い。

 昨年、アメリカの日刊経済新聞『ウォール・ストリート・ジャーナル』で、イチロー選手がラテン系選手から尊敬を集めているという記事が掲載されました。その記事によると、イチロー選手は英語だけでなくスペイン語も堪能で、ラテン系選手たちはその存在に一目置いていると書いてありました。また、その記事では、イチロー選手もラテン系選手との交流は楽しいと語っています。

 マーリンズのロッカールームやグラウンドでは、いつもスペイン語が飛び交っています。そんな陽気で明るいムードなので、イチロー選手も伸び伸びプレイできるのではないでしょうか。

 マーリンズ移籍について、日本ではイチロー選手のことを「控え外野手」と報じています。たしかにマーリンズの外野陣は、ライトにスタントン、センターに昨年ブレイクしたマーセル・オズナ(打率.269・23本塁打・85打点)、そしてレフトに昨年ゴールドグラブ賞を受賞したクリスチャン・イエリッチ(打率.284・9本塁打・54打点・21盗塁)と、レギュラークラスで埋まっています。しかし、ナ・リーグは指名打者制ではないので、ピッチャーが打席に立つとき、イチロー選手は代打として起用されたり、途中からの出場も多いでしょう。

 昨シーズンのイチロー選手の成績を見ると、代打や途中出場で良い結果を残しています。先発出場で打率.275・出塁率.315だったのが、途中出場では打率.400・出塁率.444、そして代打でも打率.462・出塁率.533と、非常に高い数字をマークしているのです。

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