【MLB】「2年目の武器」を手にしたダルビッシュ有の快進撃は止まらない

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty images

今季初登板となったアストロズ戦であわや完全試合の好投を見せたダルビッシュ有今季初登板となったアストロズ戦であわや完全試合の好投を見せたダルビッシュ有 26者連続アウト。完全試合が目前に迫った111球目。内角を狙ったカットボールが真ん中高め、やや外寄りに抜けた。鋭い打球がダルビッシュ有の股間を抜け、遊撃手のアンドラスも懸命にダイビングしたが及ばず、日本人史上初、メジャーリーグ史上24人目の快挙は夢に消えた。

 試合後はつとめて落ち着いた口調で話していたダルビッシュだったが、その直後、自身のツイッターで思わず本音が出た。

「あと一人て。。なんでやねん!!」

 関係者はよく2年目のジンクスという言葉を使うが、過去、日本人メジャーリーガーで1年目に成績を残した選手が2年目に大きく成績を落とした例は、じつはほとんどない。

 野茂英雄にはじまり、佐々木主浩、松坂大輔、黒田博樹......。野手もイチロー、松井秀喜と、いずれも2年目のジンクスとは無縁である。それは彼らが経験を糧に変える力を持っていたからに他ならない。異国に渡り異文化の野球を経験する場合、2年目の強みが生まれることは事実である。

「1年目は初めての環境で右も左もわからない状態でしたが、2年目は1年目の経験があるので、ストレスを感じることなく調整に専念できます」

 これは選手たちがよく言う言葉だ。そして、2年目のジンクスを問うても、心配は無用と答えてきた。

「相手も僕のことをわかるようになったでしょうけど、僕も相手や周囲のことがわかるようになってきた」

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