【MLB】ナ・リーグの「大穴」は20年連続負け越し中のパイレーツだ!

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

 ただ、唯一の気がかりは、エースのロイ・ハラデイ(11勝8敗・防御率4.49)の不調でしょうか。オープン戦6試合の先発で防御率6.06と精彩を欠き、開幕投手の座をコール・ハメルズ(17勝6敗・防御率3.05)に譲ることになりました。しかし、ナショナルズの投手力に対抗するために、エースの復活は欠かせません。先発陣が安定さえすれば、主力選手が戻ってきたフィリーズはナ・リーグ東地区で台風の目になると思います。

 続いて中地区は、2011年に世界一となったカージナルス、昨年地区優勝のシンシナティ・レッズ、そして青木宣親選手の所属するミルウォーキー・ブルワーズと、接戦が予想されているエリアです。そんな実力拮抗のなか、今年の中地区を大いにかき回してくれるのは、アメリカプロスポーツ史上最長となる『20年連続負け越し中』のピッツバーグ・パイレーツではないでしょうか。

 すでに昨年も、パイレーツは「台風の目」として大きく話題となりました。8月8日の時点で63勝47敗で貯金16を築き、8月下旬まで2位の座をキープ。19年連続負け越していた記録に、ついにピリオドを打つかと思われました。しかしその後、シーズン終盤で大失速。プレイオフ進出はおろか、勝ち越すこともできませんでした。

 しかし今年は、エースのA.J.バーネット(16勝10敗・防御率3.51)を軸に、投手陣のさらなる活躍が期待できそうです。というのも今オフ、パイレーツはヤンキースから捕手のラッセル・マーティン(打率.211・21本塁打・53打点)を獲得したからです。昨年自己最多の21本塁打を放ったこともさることながら、マーティンの武器は巧みなリード。投手の長所を伸ばすことができるマーティンの加入によって、パイレーツは攻守ともに戦力をアップさせたと言えるでしょう。

 また昨年、パイレーツには看板スターが誕生しました。シーズン終盤までバスター・ポージーと首位打者争いを演じ、ナ・リーグMVP候補に挙がったアンドリュー・マカッチェン(打率.327・31本塁打・96打点)です。この26歳の若きスターを中心に、パイレーツは生まれ変わろうとしています。もしかすると今年は、勝率5割以上だけではなく、そのまま優勝戦線に名乗りを挙げるかもしれません。今年もパイレーツは目の離せないチームです。

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