【MLB】松坂大輔が「完全復活」できるチームはココだ! (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

 そんな美しい海の近くにパドレスの球場『ペトコパーク』があることも、松坂投手にとって大きなメリットとなるでしょう。ペトコパークは2004年にオープンした新しい球場で、メジャー有数の投手有利なスタジアムと言われています。その理由は、太平洋から湿った空気がなだれ込むことで、打球が飛びづらいからです。

 また、ペトコパークは外野も広いため、2012年はジャイアンツのAT&Tパーク、シアトル・マリナーズのセーフコフィールドに次ぐ3番目に少ない1試合平均0.62本しかホームランが出ていません。来年からライトのフェンスを約3.3メートル、左中間を約3.6メートル手前に移動させますが、それでも平均より広いので、投手有利な状況は変わらないでしょう。

 レッドソックス時代には1発のホームランで泣く場面も多かったですが、パドレスならそのような心配も少なく済むと思います。ア・リーグと比べてナ・リーグの打撃力は総じて低く、特にパドレスの所属するナ・リーグ西地区に投手有利な球場が多いのもメリットです。松坂投手にとってナ・リーグ西地区は、非常に投げやすい地区ではないでしょうか。また、2012年のパドレスは西地区4位だったものの、後半戦の成績は悪くありませんでした。シーズン残り84試合を48勝36敗(勝率.571)で駆け抜けており、チーム状況は上向いています。パドレスは決してお荷物球団ではなく、実に魅力的なチームなのです。

 2006年、第1回WBC決勝。キューバを下した日本は世界王者に輝き、松坂投手もMVPに輝きました。その舞台となった思い出の地『ペトコパーク』で完全復活を遂げるのが、最高のシナリオではないでしょうか。はたして松坂投手はどの球団と契約を結ぶのか、今後の動向から目が離せません。

著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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