【MLB】2012年を振り返る・前編。ベーブ・ルースの「怪記録」に肉薄?

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

豪快なバッティングを取り戻し、カムバック賞に輝いたシカゴ・ホワイトソックスのアダム・ダン豪快なバッティングを取り戻し、カムバック賞に輝いたシカゴ・ホワイトソックスのアダム・ダン2012年『忘れてはいけない』メジャーリーグ十大ニュース・前編

 開幕からサンフランシスコ・ジャイアンツの優勝まで、約7ヵ月を振り返れば、2012年もいろんなことがありました。今年も数々の偉業があったので、今回は『忘れてはいけない』2012年の出来事を紹介したいと思います。

第10位 クリス・デイビス、勝利投手&1試合3本塁打を記録

 まずは、ボルチモア・オリオールズのクリス・デイビスという選手を取り上げたいと思います。5月6日、ボストン・レッドソックス戦に指名打者で出場していたデイビスは、延長16回、9番手の投手として登板。するとデイビスは、野手にもかかわらず2イニングを2安打無失点で抑え、勝利投手となったのです。『野手の勝利投手』は、ア・リーグでは1968年のロッキー・コラビト(当時ニューヨーク・ヤンキース)以来、実に44年ぶりのこと。この珍事は、アメリカで大きな話題となりました。

 そんな話題の人となったデイビスは、またも注目を集めます。8月24日のトロント・ブルージェイズ戦で、今度は1試合3本塁打を放ったのです。これによりデイビスは、メジャー史上4人目となる『同一シーズンの勝利投手&1試合3本塁打』を成し遂げたことになりました。過去3人の中には、1930年のベーブ・ルース(当時ヤンキース)も含まれています。ただ、現代のメジャーにおいて、野手の登板は控え選手に限られています。ホームランを3本も打つようなバッターが投げることは、まったくと言っていいほどあり得ません。極めて稀(まれ)な、歴史的な出来事と言えるでしょう。

9位 アダム・ダン、ベーブ・ルースの記録に一歩及ばず

 今年のア・リーグのカムバック賞に輝いたシカゴ・ホワイトソックスのアダム・ダン。彼の記録も、2012年、大きな話題となりました。その記録というのは、『本塁打』と『フォアボール』と『三振』の数です。この3部門すべてでメジャートップとなれば、あのベーブ・ルースに次いで史上ふたり目の快挙だったのです。

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