【MLB】打率1割台でもスタメンになれるメジャーの評価基準

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by Getty Images

決して派手なプレイに見えないのが、ブレンダン・ライアンのすごさだ決して派手なプレイに見えないのが、ブレンダン・ライアンのすごさだ 日本人野手がメジャーに挑戦する場合、とかくバッティングばかりが取り沙汰されていますが、守備面について触れられることがあまりに少ないように思います。川崎宗則選手や西岡剛選手が守る内野だけでなく、青木宣親選手や福留孝介選手がポジションを競う外野でも、メジャーは守備に対して非常に厳しい評価基準を持っています。よって今回は、メジャーが考える『守備』についてスポットを当ててみたいと思います。

 まず、守備の話で思い浮かべる選手といえば、『オズの魔法使い』ことオジー・スミスでしょう。セントルイス・カージナルスの名将ホワイティ・ハーゾグは守備力を強化するために、1982年、サンディエゴ・パドレスからオジーを獲得しました。するとその効果はすぐに表れ、チームはいきなり世界一に。ハーゾグ監督はオジーのことを「年間50~75点ぐらい防いでくれる選手」と評しました。もちろん当時、その発言はデータに基づいて述べられたわけではありません。

 しかし現代は、データによって具体的に『野手がどのぐらい失点を防いでいるか』という数値が出るようになりました。スポーツデータ分析会社『ベースボール・インフォ・ソリューションズ』のジョン・デワン社長が考案した、『守備防御点=ディフェンシブ・ランズ・セーブド(DRS)』というものです。計算方法は非常に細かいので割愛しますが、この守備力を測る指標が確立されると、メジャーリーグは各選手の『守備力』について、さらに注目するようになりました。

 たとえば、守備防御点(DRS)の数値が『5DRS』だとすると、その選手が平均よりもシーズンで5点防いだという評価になります。逆に『マイナス5DRS』ならば、平均より5点余計に与えたということです。よって、数値が高ければ高いほど、守備力の高い選手ということになります。

 5月のメジャーの成績を見ると、トップはトロント・ブルージェイズのブレット・ロウリー三塁手で、数値は『14DRS』。2位がシアトル・マリナーズのブレンダン・ライアン遊撃手の『13DRS』でした。ただ、ブルージェイズは守備防御点の恩恵を受けやすい守備シフトを多用しているので、関係者の間では、ライアンの守備力のほうが高く評価されています。

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