【MLB】「本当の復活は来年」。松坂大輔が受けた手術の中身とは? (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 前出の医療担当者によれば、ジョンソンもストラスバーグも松坂も術法はダブルループ。巻き付けの強度も一般的な強さだと言う。それが意味するものは、12カ月前後での復帰を目指す術法ということだ。

 とは言え、机上の計算通りに行かないのがこの手術であり、リハビリの過酷さも並大抵のものではない。選手と医療スタッフによる二人三脚の地道な行程は、敬意を払うべき作業だと感じる。

 さて、復帰した年のデータだが、ジョンソンは14試合に先発し、7勝1敗、防御率3.61。ストラスバーグは5試合に先発し、1勝1敗、防御率1.50。8月初旬に復帰したジョンソンと9月復帰のストラスバーグとの差はあるものの、ともに復活を印象づける投球を見せた。

 そして注目すべきは翌年の成績だ。ジョンソンは15勝5敗、防御率3.23。ストラスバーグは今季ここまで(現地時間6月7日現在)6勝1敗、防御率2.48の成績を残している。前出の医療担当者はこう語る。

「トミー・ジョン手術のリハビリ最終行程は、メジャー復帰を果たした、その年の実戦登板までとなります。復帰した年は、ひじの状態に安定感を求めることはできません。アップダウンがあって当然。この中で投げ抜くことで本当の強さが生まれるのです。本当の復活は、その翌年と考えて下さい」

 日本時間10日の松坂の復帰登板では、彼の直球の力に注目したい。相手打者を力で押し込む投球を見たいが、まだリハビリ過程であることを考えれば、本来の直球はあえて封印するかもしれない。

 いずれにしろ、メジャー復帰は喜ばしい限り。松坂の真の復活は来季だ。そのための2012年であることを忘れずに見守りたいと思う。

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