ドラフト候補の大阪学院大高・今坂幸暉はなぜ地元・山口から甲子園常連校ではなく、大阪を選んだのか? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 ところが今坂の入学後、チームは指導者が交代するなど、落ち着かない時期があった。今坂をスカウトしてくれた関係者も学校を去り、今坂は「気持ちが揺らいで、緩んでいた時期もあった」と振り返る。

 そんななか、昨春に大阪市立大(現・大阪公立大)で監督を務めた辻盛英一監督が大阪学院大高の監督に就任する。

 ロングセラーの著書もあるビジネスマンとして成功している辻盛監督と接するうちに、今坂は大きな影響を受けていく。今坂は「監督と出会って一番伸びたと思うのは人間性」と語る。

「どういうメンタルを持っておくべきか考えるようになって、今までとは行動が変わりました。人とのかかわり方が変わり、人への感謝の思いを持てるようになりました」

 今坂は辻盛監督だけでなく、自身を支えてくれるスタッフへの感謝も口にした。

「ウチはやらされる練習ではなく、選手たちが主体的に動くことを追求しているんですけど、どの部門にも相談できるコーチがいるのはありがたいです。打撃なら監督、守備なら福井(耀介)コーチ、動作のことは平田(達也)コーチ、走塁なら福永(聖)コーチ、投球なら玉井(光)コーチ。サポートいただく岸本(泉陽)コーチや臨時コーチの方を含めて、指導者といい意味で距離が近いので、何でも話せる関係性です」

【同世代の遊撃手には負けたくない】

 今年の高校生遊撃手は石塚裕惺(花咲徳栄)や森駿太(桐光学園)などのドラフト候補がいる。だが、今坂は「名前はよく聞くんですけど、誰にも負けたくないです」と強気に口にする。

 3月時点で高校通算8本塁打と目立った実績はないものの、運動能力にかけて今坂が高校トップクラスなのは間違いない。素材として評価するスカウトも多いはずだ。

 そして、もうひとつ。今坂から滲み出る野球への深い愛情も、今後の野球人生を支える大きな武器になるはずだ。

 今秋ドラフトの目玉格である宗山塁(明治大)を話題にすると、今坂は目を輝かせて語り始めた。

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