森友哉を彷彿とさせる打者も...侍ジャパンU−18代表候補合宿で「木製バット」に対応したスラッガー4人 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuhi Takahiro

 順応力の高さでアピールに成功したのは、湯浅桜翼(おうすけ/仙台育英)と豊島虎児(創志学園)だった。

 湯浅は1年秋から仙台育英の中心選手として活躍してきたが、身長168センチ、体重69キロと体格的に目立つ選手ではない。だが、湯浅がいざ打席に入ると、数字以上に大きく見える。打撃練習では全身を連動させ、バットのしなりを利かせて強い打球を連発していた。

 湯浅は自身の打撃について、「自分は体が小さくて筋肉も少ないので、全身を使わないと必然的に強い打球が打てないので」と語った。

 2日目の紅白戦では5打数3安打4打点1盗塁の大暴れを見せ、小倉監督も「湯浅くんはしぶとかった」と高評価している。

 ただし、湯浅本人は「いただいたバットがよかったのだと思います」と、さほど手応えを感じていない様子だった。今回の合宿では1選手あたり2本の木製バットが支給されており、湯浅はさまざまなバットに触れるなかで「弾きがいいな」と感じたバットを選んでいる。

 湯浅の口ぶりから、技術的なこだわりがあるというより感覚肌の打者という雰囲気が伝わってきた。本人に率直に聞いてみると、湯浅は「そうです!」と力強く答えた。木製バットへの順応力は、天性なのかもしれない。

 豊島は今春のセンバツで4番・二塁手で出場した左打者。ただし、2試合で8打数2安打と飛び抜けたアピールができたわけではない。身長170センチ、体重75キロと体格的にも目を引くタイプではなかった。

 ところが、合宿では打撃練習から高い対応力を見せた。自分の間合いに呼び込み、鋭いターンで弾き返す。時にはサク越えホームランも放ってみせた。ツボにはまった際の打撃は森友哉(オリックス)の高校時代が重なって見えた。

 豊島はこともなげに言う。

「普段はずっと金属バットを使っていて、木製バットだからといってとくに変えた部分はありません。常にセンターにライナーを打つイメージで、いつもどおりです」

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