身長198センチ、静岡の規格外ドラフト候補 知徳高・小船翼は最速150キロの速球を武器に「バッターに恐怖感を与える投球をしたい」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 それでも、小船に焦りはなかった。海老名シニアの飯塚良二監督から「体ができていない今はしょうがない。高校では絶対によくなるから」と励まされていたからだ。

 高校は兄・歩さんも進学した知徳へ進み、寮生活を送っている。高校では身長が6センチ伸び、体重は15キロ増えた。高校では大きな故障はなく、20キロ以上も最高球速が伸びている。小船は「体重が増えて、球の威力が変わりました」と振り返る。中学時代に悩まされた大きな故障もなく、順調に階段を上がっている。

 小船の投球フォームは独特のリズム感がある。ノーワインドアップからゆったりと軸足(右足)で立ったあと、体をカクンとくの字に折って体重移動をする。小船によると、このリズム感は「昔から」だという。

「すんなり(体重移動に)いきすぎると、おかしくなるんです。本当ならくの字になるのをやめたほうがボールに角度がついていいと思うんですけど、今の体だとこれがベストなのかなと」

 2024年の高校生投手には、小船を含めて大型の注目投手が目立っている。気になる投手がいるかと聞くと、小船は即答で「川勝くんです」と答えた。

 川勝空人(かわかつ・そらと)。生光学園(徳島)のエース右腕で、身長180センチ、体重84キロのたくましい体躯から最速153キロを計測する。身長差こそあるものの、投手としてのタイプは小船と似ている。そんな感想を伝えると、小船は「似てるっす」と同調した。

「映像で見て、馬力がすごいなと思いました。いつか話してみたいです」

【大阪桐蔭には7回7失点】

 筆者が訪れた日の練習試合では、小船は6回から登板して3イニングを投げている。だが、本調子にはほど遠く、ストレートの球威は想像していたものとは違った。

 試合後、小船は「スパイクの歯が途中で取れてしまって......」と気まずそうに明かした。足場が心もとないなか、斜めに鋭く変化するスライダーを武器に最低限の投球でまとめたのだった。

「スライダーは前まで縦変化だったんですけど、最近、横変化に改良して自信がつきました。三振が取れるし、カウントも取れるようになりました」

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