識者5人のセンバツ優勝予想 「山梨学院の連覇は?」「大阪桐蔭は強い?」「西暦末尾4の年は...」

 3月18日に第96回選抜高等野球大会(センバツ)が開幕する。昨年は山梨学院が悲願の初優勝を飾ったが、はたして今年はどの学校がセンバツを制するのか? 高校野球を知り尽くす識者5人に今回の優勝チームをズバリ予想してもらった。

昨年のセンバツは山梨学院が初優勝を飾ったが、今年はどこが優勝するのか? photo by Ohtomo Yoshiyuki昨年のセンバツは山梨学院が初優勝を飾ったが、今年はどこが優勝するのか? photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る楊順行氏(ライター)

優勝予想:星稜

 組み合わせも決まり、さてどこが優勝するのか......と、参考までに過去の優勝校を眺めていると、おもしろいことに気がついた。西暦の末尾「4」年の大会は、第1回(1924年)の高松商(香川)を含めて、9大会の優勝校すべて初優勝なのだ。

 初出場初優勝も64年の徳島海南(現・海部)、84年の岩倉(東京)、2004年の済美(愛媛)があるし、14年の龍谷大平安(京都)は名うての強豪だが、夏の優勝はあっても、春は初めてだった(奇妙なことに末尾「4」年の夏も、9大会中7校が初優勝だ)。

 で、2024年の春もセンバツ優勝歴のないチームが有力......とすると、推したいのが星稜(石川)だ。昨秋の公式戦は石川県、北信越、そして神宮大会と優勝して公式戦無敗の13連勝。左腕エースの佐宗翼、右の2年生・道本想を中心とした投手陣は防御率1.96で、佐宗は星稜中3年時に春夏の全国大会を制覇するなど、経験も豊富だ。神宮大会の決勝で敗れた作新学院(栃木)の小針崇宏監督は、「崩れそうになってもフォームが乱れず、制球にブレがない。一流のピッチャーです」と脱帽している。

 打線は神宮大会4試合で一発を含む9打点の芦硲晃太(あしさこ・こうた)、2試合連発の萩原獅士、高校通算17本塁打の吉田大吾らが引っ張り、神宮では4試合で28点をたたき出した。昨夏の甲子園で創成館(長崎)に敗れたその日の夜、芦硲が山下智将監督の部屋をノックした。

「新チームではキャプテンをやらせて下さい。そして、自分たちで考える野球をやりたいんです」

 芦硲の指導力を信頼する山下監督は、それを受け入れた。試合前には選手間のミーティングで相手への対策を研究し、監督は報告を受け、必要があれば上書きする。北信越大会の第1週は芦硲、専徒大和らが体調不良でベンチに入れないピンチだったが、「あの週の2試合を勝ったことが大きいですね。すごく感性のある選手たちで、1試合ごとに成長してくれます」と山下監督は頼もしげだ。

 8日の抽選会では、初戦の相手が21世紀枠で出場の田辺(和歌山)に決まり、本命の一角と目される広陵や大阪桐蔭とは、決勝まで当たらない組み合わせ。各校主将の事前アンケートでは、優勝予想にトップの10票を集めたが、芦硲主将は「とてもうれしいこと。秋は日本一になりましたけど、春勝てる保証はひとつもない。一からチャレンジャーという気持ちで戦いたい」と気を引き締めた。父・大輔さんは天理(奈良)の選手として97年のセンバツで優勝しており、「自分も優勝して父の横に並びたい」と親子2代優勝を夢みる。

 1月1日に発生した能登半島地震では、石川県内で多くの犠牲者が出た。いまもたくさんの人が避難生活を続ける。過去の星稜は、夏は準優勝が2回あるが、センバツではベスト8が最高成績。だが、延長18回や松井秀喜の5敬遠など、甲子園では数々のドラマを演じてきた。末尾「4」年の今大会で、そろそろ主役になってもいい。

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