甲子園を沸かせた秀岳館・川端健斗が空白の2年を経て社会人野球で再スタート「まだプロは全然あきらめきれていない」 (3ページ目)

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

2年後のプロ入りを目指す川端健斗 写真提供/エイジェック野球部2年後のプロ入りを目指す川端健斗 写真提供/エイジェック野球部この記事に関連する写真を見る 大学時代に苦しんだ投球フォームも「新しいものを一からつくり上げる」ことを意識。右足が着地した際、左腕のトップの位置にこだわり、体が横に流れることなく「狭い枠の中で投げきる」ことをチェックポイントに、フォームを固めていった。

【ライバルの活躍も刺激に】

 そして手術から2年近くの月日が流れた昨年10月。知人を介し、栃木県に拠点を置くエイジェック硬式野球部の練習に参加することが決まった。

 エイジェック硬式野球部は2018年創部とまだ歴史が浅いが、昨シーズンは22選手の大型補強を行ない、企業チームとしては最多の49名体制で活動するなど、都市対抗、日本選手権出場、そして日本一を目標に力を入れている。

 川端は難波貴司監督の前で捕手を座らせブルペン投球を披露。変化球を交え30球ほど投げたところで「合格」をもらった。

「ヒジの状態はエイジェックさんのほうにも伝えていて、7割くらいの力で投げたのですが、130キロくらい出ていました。また野球が続けられるなっていう安心感が大きかったです」

 練習参加後すぐ、秀岳館時代の恩師だった鍛治舎巧さん(現・県岐阜商監督)に電話で報告した。鍛治舎さんは南都ボーイズ(京都)で4番手投手だった川端の秘めたる才能を見抜き、スカウトしてくれた大恩人。「無事に決まってよかったな」と祝福され、胸が熱くなった。2年間の苦労が、報われた瞬間だった。

 エイジェック野球部は寮がなく、ひとり暮らしをする選手が多いが、立大野球部の寮を出てからは1年半ほど家を借りてリハビリを続けていたため、自炊もお手のものだ。現在は体重72キロからベストの74〜75キロに向け増量中とあって「朝、おにぎりをつくって、練習の合間にこまめに食べるようにしたり、工夫しています」と笑った。

 今後は左ヒジの状態を見ながら出力を上げていき、5月から始まる都市対抗栃木県予選での登板を見据える。

「今のフォームで全力に近い力を出せるとなれば140キロを超える感覚はあります。5月の予選までにしっかりと体をつくって、全力で投げられるようになったら、都市対抗優勝という目標もあります。ケガをしないよう、そこにしっかりと貢献したいです」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る