就任わずか2カ月で創価高を都大会準優勝へと導いた堀内尊法監督 「今の高校生は1週間でものすごく成長する」 (2ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Motonaga Tomohiro

【選手にプレッシャーをかけない】

 春のセンバツ大会につながる秋季東京都大会一次予選が始まったのが9月16日。創価高は高輪、八丈に5回コールド勝ちして好スタートを切った。

 10月8日は府中工科に5回コールド勝ち、翌週には専大附を15対8で下し、国士舘には22対11で6回コールド勝ちを収めベスト8進出。さらに準々決勝で早大学院、準決勝でも日大二にコールド勝ちして、ついに決勝へと駒を進めた。

 ただ堀内監督にとっては、決勝に進出したことよりもうれしい出来事があった。

「その日(準決勝当日)は寮に戻ったのが18時過ぎだったので、全員での掃除ができず、各自部屋の掃除をするように指示を出しました。すると決勝戦の朝、ベンチ外の選手たちが自主的に玄関の落ち葉拾いをしてくれました。監督やコーチに言われなくてもそうできたことで、一歩前に進めたような気がして......うれしかったですね」

 11月5日、決勝の相手は関東一だった。4回に1点を奪い試合を優位に進めたものの、6回に逆転を許して1対4で敗れた。

「選手たちに『甲子園を目指すぞ』とは言いませんでした。『今日の試合でうまくなってベスト8のチームになろう、ベスト4のチームになろう』という感じでしたね。決勝でも『ここでうまくなろう』と。結果よりもボールを追ってほしいので、できるだけ甲子園を意識させないようにしました」

 2年生でチームの主力として試合に出ていたメンバーは多いが、みんな成長途中の選手ばかりだ。

「僕が現場に入って練習をしながら、『この選手とこの選手のポジションを入れ替えよう』『控えのキャッチャーをファーストにコンバートして......』とやっているうちに、3人を除いて背番号と守備位置が全然合わなくなってしまいました(笑)。秋季大会では、選手の性格や適性を見極めながら戦っていった感じですね」

 チームの力を引き出すために、選手に寄り添った指導に徹した。

「チャンスの場面でもプレッシャーをかけないように『打ったらすごいなぁ』と言ったり、緊張をほぐすような言葉をかけたり。僕らが高校の時とは何もかもが違います。夏の甲子園で準優勝した時、初戦は試合に出たくなかったですもんね。『失敗したらどうしよう』とプレッシャーが強すぎて......」

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