佐々木麟太郎のアメリカ留学はMLBを目指す上でプラス要素 バスケットボールに続きトップ選手の選択肢になるか (3ページ目)

  • 取材・文 text by Mio Kiyoshi

 実力が同じであっても、ドラフト対象選手はインターナショナル・ボーナスプール対象選手に比べて、2倍から5倍の契約金を手にできる。ドラフト対象選手の場合、1巡目全体1位指名選手で約1000万ドル(約15億円)の契約金枠が与えられ、1巡目全体12位で約500万ドル、1巡目全体30位だと約300万ドルの契約金枠となる。2巡目だと100~200万ドル前後、3巡目は65万~100万ドル前後の契約金枠となっているが、この契約金枠は目安額であり、必ずしもその金額を支払う必要はない。
 
 アメリカの大学生はアマチュア選手だが、2021年夏からは学生選手がNILと呼ばれる肖像権収入を得ることが認められ、学生選手と企業のスポンサー契約が解禁された。

 例えば、今年から南カリフォルニア大学に入学して、バスケットボール部でプレーするブロニー・ジェームズのNIL価値は590万ドルと算出されている。これはブロニーがNBAのスーパースター、レブロン・ジェームズの息子であり、大きな注目を集めているからである。

 同じように、NFLとMLBで活躍した二刀流の元スーパースター、ディオン・サンダースを父に持つコロラド大学アメリカンフットボール部のシェデュール・サンダースのNIL価値は480万ドル。昨季の大学アメフト界の最優秀選手に選ばれた南カリフォルニア大学のケイレブ・ウィリアムズは270万ドルと、プロ顔負けの収入を稼ぐ学生選手も多い。

 ただし、佐々木のような海外からの留学生はNIL収入の対象外。それはNCAA(大学体育連盟)よりも権力が強いアメリカ移民局が留学生の就労を禁じているからである。佐々木の進学先として有力視されているバンダービルト大学は、野球部の選手全員が代理店とNIL契約を結んでいるが、佐々木が入部した場合には、どのような措置が取られるのだろうか?

 アメリカ移民局が禁じられるのはアメリカ国内での収入であり、コンゴからの留学生で名門ケンタッキー大学のバスケットボール部でプレーするオスカー・シブエは、チームがバハマに遠征した隙にNIL収入を得たこともある。

  同様に、佐々木が進学した大学が日本遠征を行なえば、学生ながら広告収入を得ることも可能になる。

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