元ベイスターズ・高森勇旗が高校時代に設定した「プロ野球選手になるため」の2つのKPI

  • 高森勇旗●文 text by Takamori Yuki

『降伏論 「できない自分」を受け入れる』(日経BP)の著者・高森勇旗氏は、元横浜ベイスターズの選手であり、引退後はデータアナリスト、ライターを経て、現在はビジネスコーチとして活躍している。これまで多くの経営者やビジネスパーソンのコーチとして、50社以上の業績向上を実現させてきた。そんな高森氏にプロ野球選手へとたどり着いたご自身の経験をもとに、ビジネスコーチのスキルの一端を紹介してもらった。

中京高から2006年の高校生ドラフト4巡目で横浜ベイスターズに指名された高森勇旗氏中京高から2006年の高校生ドラフト4巡目で横浜ベイスターズに指名された高森勇旗氏この記事に関連する写真を見る

【「やる気だけはあります」が最も危険】

「何をやったらいいかはわからない。ただ、とにかく体力とやる気だけはある」

 プロ野球を引退した直後、私はこういう状態だった。当然、体力はあり余っており、野球以外の未知の世界に飛び込んでいく期待と不安が入り混じった状態で、テンションもとにかく高い。ただ、社会の厳しさはおろか、お金を稼ぐとはどういうことかもわかっていない。

 いろんな人に会うたびに、「君は何ができるの? 何をやりたいの?」と聞かれるのだが、私の答えはいつも同じだった。
 
「なんでもやります! やる気だけはあります! 一生懸命やります!」

 おわかりのように、このように答える若者に、何か仕事を与えてやろうかという人はほぼいない。何をやったらいいかはわからないが、やる気だけはある人間が最も危険なのである。

 当時の私はそんなことも露知らず、ただやる気だけを垂れ流し続ける日々を送っていた。そんなある日、実家の母親が上京し、相田みつを美術館に行きたいとのことで、一緒に行くことになった。私は、相田みつをの残した数々の言葉のなかで、心に真っすぐ刺さるモノを発見した。

 アノネ
 がんばんなくてもいいからさ
 具体的に動くことだね
みつを

 具体的に動く──私は、しばらく立ち止まって考えた。

「どうやったら、具体的に動けるんだろう」

 そのヒントは、すでに私のなかにあった。

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