甲子園で熱投の10人を山本昌がリアル解説 ひと目で「すばらしい」と直感したエースは? (10ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

最速146キロを誇る北海のエース・岡田彗斗最速146キロを誇る北海のエース・岡田彗斗この記事に関連する写真を見る岡田彗斗(北海/178センチ・78キロ/右投右打)

ひと目見て、「すばらしい素材だ」と直感しました。体の力がすごくあり、コンスタントに140キロ台中盤に達する球速があって、球筋もすばらしい。フォームを見るなかでとくにいいのは、左肩が開かずに体重移動ができること。体重移動の距離自体は短いのですが、右肩が十分に回ってトップに間に合っている。普通の右投手ならシュート回転が強くなるところ、彼の場合はストレートがカット気味に入ってくる印象を受けます。気になる点を挙げさせてもらうなら、軸足(右足)の使い方。今は軸足一本で立ったあと、全身が上から潰されるように体重移動しています。左腰がもう少し高い位置で移動できるようになると、ボールが低めに集まるような投げ方になるはずです。

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 今年は「大学生投手に即戦力候補が多い」と聞きますが、こうして甲子園の好投手を分析させてもらうと「高校生にも原石がたくさんいるな」と感じました。とくに森くん(徳島商)と岡田くん(北海)はプロ志望じゃなかったとしても、今後も追い続けたい好素材でした。ともに体は強いし、腕の振りはいいし楽しみです。

 まだ体はできていませんが、菅井くん(日大山形)のバランスのよさと将来性はピカイチ。左投手では福田くん(履正社)のフォームが光って見えました。

 地方大会で敗れた投手のなかにも、おそらくすばらしい素材の持ち主がいたはずです。今年のドラフト会議ではどんな好素材と出会えるのか、今から楽しみです。

プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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