京大野球部が本気で目指す「リーグ優勝」頭脳派チームは再び快進撃を起こせるか? (2ページ目)
学生球界最高峰の頭脳派軍団は異色の人材まで戦力として取り込み、群雄割拠の関西学生リーグで侮れないチームになっている。三原と近田監督を取り巻く物語は、拙著『野球ヲタ、投手コーチになる。元プロ監督と元生物部学生コーチの京大野球部革命』(KADOKAWA)をご一読いただけたら幸いだ。
今年の双青戦で先発を任されたのは、4年生右腕の染川航大(郡山)だった。
染川は身長188センチの大型右腕で、最速146キロと京大屈指のスピードを誇る。東大打線に対峙した染川は6回を投げ、2失点と先発投手の役割を果たしている。
「これまでは変化球のコントロールが課題で、ストレートに絞られて打たれる悪循環だったんです。変化球でカウントをとれるようになって、よくなってきたと思います」
昨春のリーグ戦で染川は悔しい思いを味わっている。勝ち点2で迎えた関西学院大との1回戦。京大は残り試合で3勝を挙げれば勝ち点4となり、リーグ2位に浮上する可能性を残していた。
関西学院大との1回戦も水江が好投し、京大が3対0と優位に試合を進めていた。だが、7回に水江をリリーフした染川が高波寛生(現・大阪ガス)にタイムリー三塁打を打たれ、逆転負けを喫する。この試合を落とした京大は残り試合も全敗し、リーグ5位に終わっている。
染川は関西学院大戦について、「正直に言って(交代時に)自分じゃないだろうと思ってしまって、びっくりして気持ちの準備ができないままマウンドに立ってしまいました」と悔いを残していた。最上級生になり、今年にかける思いはなおさら強い。
「悔しい思いはいっぱいしてきましたから。リーグ戦で結果を残さないと、また『京大は水江だけ』って言われるんで。水江が投げていない試合でも、勝てるところを見せたいですね」
【学生最後のシーズンにかける思い】
学生生活最後のシーズンにかける思いは、ほかの4年生も同じだ。
小田雅貴(茨木)は昨春のリーグ戦で二塁手のベストナインに輝いたほどの実力者。だが、昨秋以降は故障や打撃不振に苦しみ、不本意な結果が続いている。そんな小田も東大戦では2安打を放ち、復調をアピールした。
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