北海・平川敦監督が「甲子園の戦いは別物」と語るワケ 「怖い」舞台で積極采配に変更 (2ページ目)

  • 元永知宏●文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 3対7と劣勢の7回裏、北海の選手たちを勇気づけるホームランが飛び出した。その回の途中からライトの守備に入っていた小保内貴堂(おぼない・きどう)がレフトスタンドに一発を放ち、2点差に追い上げる。

 そして5対7で迎えた9回裏、ツーアウトから北海が反撃を開始。四球と連打で同点に追いつき、延長戦へ──。

 タイブレークに突入した10回表に1点を奪われた北海。その裏、ワンアウト一、二塁の場面で打席に立ったのが、前の打席でホームランを打った小保内だった。

 小保内の打球は、ライトの頭上を越えるタイムリーとなって同点に。つづく大石広那(こうだ)が強烈なヒットを放ち、激戦は9対8で幕を閉じた。両チームが放ったヒットは15本ずつ。2時間46分の熱戦だった。

【甲子園の戦い方は別物】

 この試合、北海の平川監督は序盤から積極的に動いた。その裏には、指揮官の割りきりがあった。

「これまでは南北海道大会の戦い方をやって、負けることが多かった。甲子園の戦い方は別物。スパッと変えることが大事だと考えました」

 南北海道大会で2番を打った大石を9番に回し、強打者の熊谷と好打の左バッター・長内の間に2年生の幌村魅影(ほろむら・みかげ)を置いた。

「南北海道大会でも打順を変えたい気持ちがあったけど、流れや勝ち方があったのでなかなかできなかった。でも、甲子園に来てからがスタートと考え、調子のいい選手を使うようにしました。ひとりのピッチャーを我慢して使うのか、積極的に代えるのかと考えた時に、早めの継投を選びました」

 3回ワンアウトから先発した熊谷をファーストに回し、サウスポーの長内をマウンドに上げた。その後、長内→熊谷→岡田→熊谷という継投策を施した。

 甲子園の初戦で南北海道大会と違うスターティングラインナップを組み、3投手による継投で勝利した平川監督は言う。

「今日は3人のピッチャーがよく投げてくれました。継投の仕方によってほかのポジションを守る選手の起用方法も変わる。小保内は守備も打撃もいい選手なので、キーマンになると思っていました。彼をベンチに置いていてよかったです。小保内は副キャプテンでマネージャー業務もします。プレーに派手さはありませんが、結果が出ない時でもあきらめずバットを振り込んできた選手。甲子園でいい結果を残してくれてうれしい」

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