クラーク国際・新岡歩輝は変幻自在 花巻東・佐々木麟太郎に3種類のフォームで挑む (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●撮影 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 創部10年目で甲子園初勝利を挙げたクラーク国際の2回戦の相手は花巻東(岩手)だ。ここには高校通算140本塁打を放った佐々木麟太郎がいる。

 青森県つがる市出身の新岡は佐々木との対戦経験がある。

「高校では対戦したことはありませんが、中学2年の時に対戦して、試合は負けました。自分が投げて、フォアボールを出した気がします。(佐々木は)ものすごく迫力がありました。小学校の時にも見たことがあるんですけど、球審よりも体が大きくて(笑)。その印象が強いですね」

 佐々木はその頃よりも大きく、たくましくなっている(身長184cm、体重114kg)。1回戦の宇部鴻城(山口)戦では3安打を放った。

「変化球でかわそうとしても、思い切って振ってきそう。しっかりとインコースの厳しいところを、逃げないで強気で攻めていきたい。

(花巻東打線に)一発でとらえられることはないだろうと思っています。抑えないといけないという気持ちも、抑えられるという自信もあります」

 140キロのストレートと8種類の変化球を持つ新岡。相手バッターの特徴を見極めながら、プレートの位置を変え、3種類の投球フォームを駆使する。

 左バッターにサイドスロー、アンダースローは通用しにくいというのが定説だが、新岡は気にしない。

「もともと、自分の課題は左バッターを抑えることでした。インコースを強気で攻めるようになってから、抑えられるようになりました。左バッターの時でも、横からや下から投げることがあると思います」

 新岡はエースであり、攻撃の核となる三番打者であり、チームをまとめるキャプテンでもある。

「新チームが始まった時は『過去イチ弱いんじゃないか』と言われるくらいだったし、はじめは自分勝手な人が多かったんです。でも、ヤンチャっぽい選手が集まったほうが逆に強くなるんじゃないかという思いはありました。一戦一戦、チームがまとまってきて、一体感がますます強くなっています」

 甲子園初勝利で勢いを得たクラーク国際が、「岩手から日本一」を目標に掲げる強敵に挑む。

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