クラーク国際・新岡歩輝は変幻自在 花巻東・佐々木麟太郎に3種類のフォームで挑む

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 大友良行●撮影 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ピッチャーの価値はストレートの速さで決まるわけではない。もちろん、体の大きさでもない。大事なのは、ヒットを打たれても点を与えないことだ。

 大会3日目の第2試合、前橋商(群馬)を7対1で下したクラーク国際(北北海道)のエース・新岡歩輝は、粘り強いピッチングで勝利を呼び込んだ。

「クラーク国際にとって甲子園初勝利。初戦という大きな壁を突破できて最高にうれしいです。ランナーを出しても、いつもどおりのピッチングをすることができました。佐々木啓司監督に1勝をプレゼントできてうれしい」

3種類の投球フォームと多彩な変化球を駆使するクラーク国際のエース・新岡3種類の投球フォームと多彩な変化球を駆使するクラーク国際のエース・新岡この記事に関連する写真を見る 身長173cm、体重72kgの新岡はそう言って笑った。被安打は10。何度もランナーを背負いながら1失点で切り抜けた。

「8回くらいから足が攣りそうだったんですが、あまり気にせずに投げました。ランナーが三塁にいる時は、クイック(モーション)じゃなくて足を上げて投げられるので、ランナーのことは気になりません」

 9回に142キロのストレートを投げ込んだが、新岡の武器はスピードだけではない。

「球種がいくつあるのか、自分でもよくわかりません(笑)。変化球は8つくらいかな? 同じ球種でも投げ方や角度によって、曲がり方が変わってくるので」

 中学2年まではアンダースロー。中学3年でサイドに、高校でスリークォーターに変えた。現在は、その3種類のフォームを使い分けて相手打者を翻弄する。

「自分がひとりで1試合を投げ切らないといけなくなって、過去の経験を生かして投げるようにしました。(その時々で)プレートの位置を変えながら投げるようなったのは、この夏の北北海道大会準決勝から。いろいろな工夫をしないと、9回を投げ切ることができないので」

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る