関西大の有馬諒が大学ナンバーワン捕手の座へ ライバルには「自分より能力が高いのは明らか。でも最終的に勝てればいい」 (5ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 有馬は合理的な思考で野球に取り組むようになる。たとえば、試合前日は必ず7時間睡眠をとる。朝5時起床予定なら22時、9時起床予定なら2時までに就寝。有馬は「まったく同じ動きをできるよう、逆算して生活しています」と語る。細かなルーティンは「数え出したらキリがない」というほど膨大に存在するという。

 そんな極度の合理主義者である有馬が、たとえ大学トップクラスの進藤が相手でも勝算を口にしているのだ。その言葉には、たしかな説得力がこもっている。

 2022年のドラフト会議は、大学生捕手に逆風が吹いていた。指名が有力視された野口泰司(名城大→NTT東日本)、石伊雄太(近大工学部→日本生命)はいずれも指名漏れに終わった。そんな厳しい現実を前にしても、有馬は希望を口にする。

「2年連続で大学生捕手を獲るチームは少ないでしょうから、去年のドラフトで大学生捕手の指名が少なかったということは僕にとっては逆にチャンスです。大学生捕手は高校生捕手よりも即戦力度が求められるので、そこを高水準でクリアすればいい。評価してもらえるかは、球団次第です」

 2023年の大学ナンバーワン捕手はやはり進藤勇也なのか、それとも......。秋が深まる頃、有馬諒の放った言葉の数々を噛みしめてみたい。

プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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