歌って踊れるプロ野球選手に。ミュージカル俳優が独立リーグで初舞台 (5ページ目)

  • 井上幸太●文・写真 photo by Inoue Kota

「ミュージカル俳優という肩書きを持つ自分が野球で活躍することで、野球ファンの方がミュージカルを知る、劇場に足を運んでもらうきっかけになるかもしれない。その逆も然りで、かつて自分の舞台を見てくださった方が『舞台で見た和田が野球をやっているのか。球場に行ってみよう』となる可能性もある。僕自身、野球とミュージカルから夢をもらった人間です。この2つ"両方"に全力で挑戦する姿から、何かを感じてくれたら嬉しいです」

 入団発表の記者会見では、来場した観客のリクエストで磨き上げた歌声を披露した。この会見の模様への反響も多く、確かな手応えと同時に「NPBに行く」ことの必要性も感じた。

「入団会見の出来事だけでも、確かな反響がありました。ここから実際に公式戦で登板する、球団のイベントでミュージカル俳優として培ってきたものを披露する......。そうやって積み重ねていくことでより反響は大きくなっていくと思っています。その先で自分がNPBのマウンドに立てば、より多くの方にプレーを見ていただける。そして、ミュージカルを知ってもらえる。だからこそ、ドラフトで指名されてNPBに進みたいと強く思っています」

 昨年、中学時代に仲違いしていた監督と再会し、互いの近況を報告した。「一緒に肉を食べて和解しました」と晴れやかな笑顔で語るように、野球への後ろめたさを感じていた自分はもういない。今は「(野球も俳優業も)中途半端と言われないように、マウンドで結果を出すしかない」と強い意気込みに満ちている。

 いよいよ幕を開ける"主演・和田一詩"の独立リーグ物語。四国を舞台に繰り広げられる唯一無二のストーリーから、一瞬たりとも目が離せない。

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