エース温存で18失点の日大三が手にした「夏に打倒・早実」の攻略法 (3ページ目)
そんななか、清宮幸太郎と野村大樹という高校球界を代表する3番、4番と対峙しなければならない。結果、両者に2本ずつ本塁打を浴び、2人合わせて10打点を献上することになった。
「清宮には、正直言って打たれる雰囲気しかありませんでした。どうにか打ち損じてくれ......と。2本目に打たれたホームラン(9回裏の同点3ラン)は『ストレートが続いて変化球は頭にないだろう』と思ってスライダーを投げさせたのですが、左中間に持っていかれて......。たぶん体の反応で打ったのだと思いますが、すごかったですね」
昨秋の都大会決勝で対戦した際は、櫻井が清宮から5打席連続三振を奪った。だが、当時の清宮との変化を感じたという。
「前回よりも踏み込んで打ってくるな、という印象でした。バットをよく振ってくるなと。カウント3-0からど真ん中に構えたボールを2回打ち損じてくれた(投手ゴロと一塁ゴロ)のはラッキーでしたけど」
続いて野村について聞くと、津原はもはや悔しさを通り越したのか、ふっと笑って呆れるようにこう語った。
「どこに投げても、何を投げても打たれる。こんなの初めてですよ。去年の秋も打たれました(サヨナラ本塁打を含む3安打2打点)けど、スキがないですね」
櫻井が投げれば......。
試合中にその思いが頭をよぎる瞬間もあったという。だが、邪念を打ち消し、初志を貫いた。野球は出場している選手の力量の合計がそのまま結果に出るような単純なものではない。仮に櫻井が投げたとしても試合が荒れた可能性はあったし、逆に締まった投手戦になっていた可能性もあるだろう。ゲームは生き物なのだ。
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